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概要

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「開発戦略の将来像」一低開発性の克服をめざして-第1回優秀賞馬場靖憲要約現在、開発途上国において発生している大量失業、所得の不平等分配、絶対的貧困からなる低開発性の原因に、先進国を起源に持つ財、技術、制度、価値観等が途上国に無秩序に移植されたという事実をあげる視点がある。即ち、多数の人間が必需品を得ることができず,人間としての最低生活をもおくれない時、少数エリートによる著俸晶の消費は資源の浪費であると考え、先進Elを起源とする資本集約的技術によって大量失業が創出されると考えるのである。何の規制もなく導入される時、先進国の財、技術、制度、価値観は、途上国にGNP成長をもたらす一方で、低開発性という歪みをももたらすのである。この視点に立つ時、先進国の諸要素を途上国に導入する際に一定の規制を設けることによって、歪みのない、途上国に適した開発が達成される可能性が生まれる0一方、途上国間題の解決をめざす開発戦略は、その目的を経済成長から低開発性の克服-と転換した。開発問題のイニシアティブをとる世界銀行は、まず分配と成長の統一的把握をめざす戦略を提示し、その後多くの国際機関が主張する「基本的ニーズ戦略(BNIS)」をとりあげた。しかし最新BNS解釈において世銀は、BNSとは従来の開発戦略のフレームワークにおける基本的ニーズの重視にすぎないとBNSの独自性を否定する.世銀は基本的ニーズが生産性の上昇につながり、経済成長を促進する手段的側面を重視し、特に教育・保健・栄養に重点を置く。世銀は、途上国の〔生産・所得・消費〕構造を貧困層の基本的ニーズ充足に適した構造に転換しようとする視点を捨てたと言えよう。57