ブックタイトルsatoh

概要

satoh

第1回優秀賞のもと全国的規模で行なう短期的･大規模なアプローチであり､共に､開発途上国のリテラシー教育-のポリシーの異なる両極の好例を示していよう｡リテラシー教育を行なう際に､最も大事な点は､いかに多くの文盲層を引きつけるか､そのリテラシープログラムからの受講者のドロップアウトをいかに防ぐかにあろう.単に無味乾燥な読み書きのみを教授するのでは､受講する人々の持続性は期待できないO開発途上国における義務教育-の高くない進学率を考慮すれば尚更のことであるo既述したように､リテラシー教育を行なう際のモチベーションが最も大事な点ではなかろうか｡歴史的にみてもたとえば我国の江戸期の都市部における高いリテラシー率は､商業の発達･町人の台頭と密接な関係が示唆される｡モチベーションにおける一つの顕著な手法は､ニカラグアの事例にみられるような国家的キャンペーンによる上からの方向づけであろう｡しかし地味ではあるが､この方向に対し大衆からのモチベーションの高まりがリテラシー化に最も自然に適合しやすい雰囲気をつくるのではなかろうか｡リテラシー教育を単に文字情報の学習と化してはならない｡リテラシー教育は､第一に､人々の日常的生活にかかわる実際的テーマ･内容､第二に､興味あるテーマ･を設定した方が､接近度は高いのではなかろうかO前者の例としては､たとえばダカールでの文盲婦人の為の保健及び栄養･料理についてのリテラシープログラムがあげられる｡後者については､既に述べたが､主として職業的プログラムとの一体化があげられる｡それぞれの職業上の専門知識を盛りこんだプログラムである｡たとえば商業に携わる人々のために､税･支出入･帳簿をつけるといった際の専門知識の教授と平行してリテラシー教育を施すのであるO受講者の既有している情報.知識により近いテーマからのリテラシープログラムが､最も人々の接近度が高いと思われる｡このようなプログラムは､経営プログラム､農業計画プロジェクT.の一環としてのリテラシー教育として､関係省庁或いはそれぞれの産業部門のバックアップのもとに､実現可能である｡かつてリテラシー教育は､3Rs(writing,reading,arithmetic)がメインであったが､これに関･L凄)るテーマに沿った一般教養或いは初歩的専門知識の付加が､よりモチベ-シ53