ブックタイトルsatoh

ページ
54/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている54ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

以上の村々-次々-と波及していったのである。教育経費が少なく、教員数の窮乏にあえいでいる開発途上国において、リテラシープログラムの対象を特定地域に設定し、モデル化しその成果自体が説得力をもちはじめ波及させていく手法は、多くの農村地域・山岳地域をかかえるアジア諸国において有効な方向を示していようOこれに対し,ニカラグアの手法は全く対照的である。1979年7月に成立した民主ニカラグア国家再建政府は、国家再建のスローガンのひとつとして文盲撲滅をかかげた。文盲が大衆の無知を生み、国家再建-の大きな障害になるとし、全国規模にわたるキャンペーン3)を開始したのである。新政府のいきごみはすさまじく、1980年3月に始められたこのキャンぺ-ンは、約20万ものリテラシーティーチャーを募り、彼らを全国に点在する85万の文盲層に直接リテラシー教育を施そうとするものである。実に4・5人に対し1人の教師を投入するという大規模なものであり、しかも半年間教師はイリテレイトな人々と、共に生活し同じ生活条件を有するという徹底した文盲撲滅キャンペーンである020万もの教師をいかに調達するかという疑問があろうが、彼らの多くは、若いハイスクールの学生であることから明らかなように既述した代教員システムで補充しているのである。ニカラグアでのこのキャンペーンは、まさに国全体が、ひとつの巨大な学校として位置づけられるものである。既存のあらゆる教育施設、教育環境を有効に使い、利用できるあらゆる乗り物にいわゆるリテラシー普及隊(LiteracyArmy)が乗り、文盲撲滅へと全国に派遣されるのである.文盲撲滅をいわば一種の国家による社会事業とLて捉えているのであち.このように国家による初等教育ひいてはリテラシー教育に対するプライオリティの位置が大衆のリテラシー化実現のひとつの大きな指標といえるあではなかろうか。換言すれば国家において、リテラシー教育がどれほど緊急を要する課題であるかの認識レベルにおいて反映度も異なってくる。西欧社会にみられるような都市化に伴うリテラシーの発達を同一レベルで開発途上国にみることはできない。国々によって事情は異なるのであり平準化できえない。インドネシアとニカラグアの事例は、前者がモデル地域の設定から徐々に全国的に波及させていった長期的・小規模的アプローチであるのに対し、後者は、強烈なスローガン52注3)ニカラグアにおける状況は、 7才-12才の子供たちの35.2%が初等教育の機会をもたず、10才以上の半数(50.2%)-85万人が文吉である。TheUnescoCourier,Jlne1980p.10