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概要

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「外国人もクラスの中に存在する」という前提がないことも、教育プログラムが一元的であり、多様性が見られないことの1つの原因ではなかろうか。もちろん、以前より在日朝鮮人の子弟や留学生が、日本人生徒に交じって同じ教室で授業を受けるケースは少なからず存在した。だが、そのような場合、そうした外国人あるいは異なる文化的背景を持つ生徒たちを例外とみなすのではなく、当然の対象として念頭においた教材を用いることは、されなかったのではないだろうか。在日朝鮮人の場合は、日本人に同化することを余儀なくされ、留学生の場合は、特殊なケースとして扱われるか、さもなくば「お客さん」扱いであったと思われる。最近は、企業の国際化に伴い、海外滞在経験を持つ子供の数も著しく増大した。彼ら帰国子女の学校受け入れにおいても、同様の問題が持ち上がっている。すなわち、現在の教育プログラムは、海外で培った体験、文化、風習、価値観等を容認し、しかもそれを発展させるような多様性、寛容性に欠けている。一方、留学生のケースがしばしば「特殊」なケースに終始するのは、留学生の少なさにも起因するのではなかろうか。学校-の受け入れのみならず、地域社会-の受け入れでさえ、決してスムーズではないo地方でホームステイする留学生が、いつも好奇の目で見られたり、子供たちの遠慮のない反応と出会ったりすることを嘆く投書を、しばしば新聞で目にすることがある。中学・高校レベルでの留学生の受け入れについては、受け入れ側の教師・級友となる生徒たち、地域住民のいずれも、まだ「慣れて」いないのである。日本の留学生受け入れ総数は、他の生進諸国と比較しても著しく低い。米国が311,882人、フランス119,336人、イギリス52,899人等に比し、日本はわずか8,116人を受け入れてl)いるにすぎない.ここで挙げた数のうち相当数が大学レベル以上の留学生であろうが、礼は、中・高校レベルでの留学生の受け入れについても、もっと積極的に考えてよいと思う。様々な国から訪れた留学生との日々の生きた交流は、異文化を学ぶ上で、どんな教料書53占注1) 21世紀-の留学生政策懇談会による「21世紀への留学生政策に関する握言」より(アジア学生文化協会,『アジアの友』1983, 9月号)。