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概要

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「国際関係の緊密化に対応して国際理解と国際協力を推進するために教育はどうあるべきか」一国際社会-の参加・連帯-向けて一岡田亜弥序章デビーとの出会い私が、呉デビーを知り、彼女のアパートに通うようになってから、はや1年が経過したO彼女は、家族と共に、戦火のカンボジアから逃れてきた難民である.デビーは、16歳の明るく、人なつっこい少女である。今春、都立高入試に失敗し,現在日本語学校に通いながら、来春の再受験を目標に勉強に励んでいる。昨年の9月以来、私は、週1回、彼女の家でボランティア家庭教師をしている。呉一家が、日本-の定住を望んで、タイの難民キャンプから飛行機で来日したのは、 3年前、56年1月のことである。ちょうど、日本政府が、難民の日本-の定住に本格的に取り組み始めた時期と一致している。すぐに、神奈川県大和市にある難民定住促進センターに収容され、3カ月間、日本での生活に適応できるよう、日本語の習得をはじめ、様々な訓練及び講義を受けた。わずか3カ月では、日本語にしろ、生活習慣にしろ、満足に身につくわけではないが、とにかく期間が過ぎれば、センターを出て、自立してゆかねばならない。デビーの父は、知人の骨折りもあり,埼玉県川口市のダンボ-ル製造工場に就職口を見つけた。だが、工場の給料だけでは、とても妻子を養っていけない。デビーには、ソマンクー、リヤーという年続きの妹たち、その下にワンディという弟、さらにその下にティダーという幼い味がいる。父は、多くの人々の善意に支えられ、東京代々木でカンボジア料理店を始めることに成功した。530