ブックタイトルsatoh

ページ
516/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている516ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

特に問題となるのは、(ア)社会的活力を低下させないために組織と個人主義の調和をはかること。(イ)社会参加の必要性である。日本においては、組織と個人の調和は西欧と比べても十分図られていると言えるが、地域社会等に対する社会参加は今まで極めて弱かったと言わざるをえない。日本と比べて個人の社会参加が盛んであるアメリカにおいても、最近は社会に目を向けず、自己の生活にのみ関心を払うミーイズムが拡大しつつあると言われる。日本人は今や世界で最も自らに謀せられた義務を放置し、権利を主張する民族であるとの評価もあり、アメリカ以上にミーイズムに陥る可能性がないとは言えぬ。しかしながら、近年日本でもコミュニティ-の関心が急に高まりつつあることに注目する必要があろう.それは、第1に高度成長の終りとともに日本人の企業に対する関心が急速に薄らいだこと、第2に労働時間の短縮や平均寿命の延長により従来の日本人の社会参加を拒んでいた企業や家庭の束縛が弛緩しつつあることに由来する.(3)ここで問題となるのは、このような個人主義の発芽を悪い意味のミーイズムに陥らせずに、社会参加-導き出す方法である。私はここで行政情報の公開制度を進めることを強く提唱したい。なぜならば、国民生活の行政-の依存度が増大した今日において、行政は国民の生活に関する(或いは影響を与える)膨大な情報を有しており、国民はこれらの情報を知らずに社会に対して主体的な行動を起こすことが不可能となっているからである。この為には、行政情報は国民すべてが共有するという視座に立ち、その積極的な公開に努めるべきである。特に、行政情報の結果のみを公開するのではなく、行政が意思決定を下す段階で当該意思決定に係る情報を国民に提供し、国民と共に考えるという姿勢が必要である。将来家庭にコンピューターの端末が設置されれば、国民が即座に行政情報をキャッチして、逆に意見を投げかえすことが可能になると思われる。その為には、繰り返すが、官公署の意思形成過程の情報を積極的に公開することが必要であり、現在地方自治体レベルのみで実施されている情報公開制度を国家段階で実施することが強く望まれるところである。514