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概要

satoh

第4回佳作と、それが吃音の引金になることがあると聞いたことがあるが、この工場に働く左ききの人は、スポーツなどの世界と違って、さぞかしストレスの多い職場だろうと、私は想像した。そこで私はその知人に向って「工場見学の感想をひと言で言うとどうでしょうか?」との質問を発した。と、間髪を入れず、何の梼蹄もなく「あの工場で働く人は、寿命がちぢむだろうなあ!?」との返事が返って来た。便利さを追求し、能率を重視し、より速く、より大きくを目指して造られたこの種の工場なり職場では、もはや人間が主人ではなく、機械が主体の座を占め、人間は完全に疎外されていると言うより、機械と時間の奴隷になり下がったと言った方が適当なほどであるOまた、工作用産業ロボットの面でも、日本は世界のトップを走っていると言うことであるが、その結果として、既存の雇用はともかくとして、新規雇用の門を著しくせばめ、若者の働く場を奪いつつあるのが一つの現実であり、将来この傾向は一層顕著になってくるであろう。最近アメリカで起った産業ロボット"殺人"の記事の中で弁護側が「問題は機械と人間のどちらが、どちらに奉仕するかだ」と言っているが、注目すべき発言である。これもアメリカの話しであるが、最近アメリカでは先端技術について行けない中高年者層が、ストレスのあまり身心症にかかり、その職場内での教育ではとても手におえず、その人をいたわりつつ手取り足取りで教育クリニックする専門業者が現われて来たということで、やがて日本でもそうした問題が起るだろうし、そうした新商売も現われてくることであろうと思う。その性か先端技術に日夜相対している職場での直接的な職業病の発生や、新しいコンピューター犯罪の多発傾向は大きな社会問題となってくるであろう。また、オペレーターとて神ならぬ身のこと、もし仮に誤って打つべきキーの隣のキーを打った時に起り得るであろう重大な結果を思うと、ぞっとする。大分以前のことであるが、ニューヨーク市で大停電が起り、一時全市がパニック状態になったことがあった。掻く近い例では八月の初め神戸市の中心部で電話二万台余が不通と489