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概要

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第1回優秀賞の例でいえば、19世紀中葉がほぼこの時期に相当Lよう。しかるに、このS字型理論は、アジア地域の開発途上国には必ずしも適応できない。特に6億もの人口を有するインドを筆頭とする近年の人口増加は著しく、各国とも軒並み2.0%-3.0%の高い増加率を示して6)いる(ヨーロッパ諸国は、1.0%以下であり、ヨーロッパ地域の増加率の5- 6倍に達している)。発展途上国のこの高い人口増加を、先進国(特に西欧)のS字型曲線の「過度的成長期」(死亡率が減少し、出生率は上向き、その結果人口が急増する)の局面と同一パターンと安直にみなすことはできない。諸条件の異なるこれらの国々の人口の発展パターンが、直線的なものか急落化するのか安定化するのか予測は困難である。問題は、このような高い人口増加率に相応して、就学児童数の増加率、初等教育施設数・教員数等の増加率が伴わない点にある。さらにこのような厳しい状況に拍車をかけるも(4図)のとして、開発途上国における教育費の問題がある。表から概観して明らかなように70年♯4国教育糞の割合(GNPに占める)軍事費の割合(GNPに占める)全世界1965 4.9 < 6.81970 5.4 < 6.61975 5.8 > 5.3先進国19655.2<7.519705.6<7.119756.0>5.5開発途上国19653.2>2.619704.0>2.919754.4く4.5*TheUnescoCouriez・,June1980P.9の資料をもとに作成代後半から、先進国が軍事費から教育費にウエイトを置きだしたの対し、開発途上国は、全く逆に、教育費から軍事費-の移行がうかがわれる。このようにリテラシーを包む教育環境は必ずしも好転しているわけではない。リテラシーという人間にとって最も不可欠である能力を身につけることすら疎外されている開発途上国の人々にとって、このような教育環境、既存の教育施設の中でいかにしてリテラシーを獲得していくべきかが、本論の主眼となってくる。往6)アジア諸国の高い人口増加率-の対応策とLて、たとえば中華人民共和国では、人口抑制のため、厳しい産児制限策を実施、1985年までに人口増加率を年0.5%に下げる計画を行なっている。 47