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概要

satoh

第4回佳作私は、私共の日常生活の中での、最も身近な一つの小さな食品に例をとって、住時を振り返ってみたのであるが、似たような、いやそれ以上に=ぉかしな"ことが今の社会には山ほどあることは周知のことである。もう大分前のことになるが、「大きいことはいいことだ!」というコマーシャルが流行し、「消費者は神様だ!」というあるタレントの言葉ももてはやされ、それ使い捨てだ、消費は美徳だ、とのコマーシャリズムに毒され、無分別に資源を浪費した時代もあった。そしてそのツケとも言うべき環境問題の深刻化と、地球の砂漠化、国際関係の乱蝶などが、現実の問題として現在我々の上に大きくのしかかって来ている.「大きいこと」-の誘惑とあこがれ、そして暴走は、総合的に見て、また、より高い立場から見て、果して人類に如何ほどの真の幸福をもたらしたかを、静かに振り返ってみて、将来の在り方の参考にすべき時に来ていると思うのである。2.人類の月面到達私は少年の頃に「人間が月の世界-到達するむずかしさは、十里(四十キロ)向うに居る蚤の眼玉を鉄砲で撃つよりもむずかしいことだ」と、先生が話してくれたのを今もはっきりと覚えている。それはむずかしいと言うより、不可能を意味Lた語り口であったように思う。それは僅々五十年ほど以前のことでしかない。ところが人類はこの殆ど不可能に近いと思いもし、言われもして来たその難事を、こともなげにあっさりとやってのけたのであるo(一九六九年七月アポロ十一号)しかし、あの月面-人類が初めて第一歩を印した時の感激の場面を、テレビの画面を通して徹夜で見たあの興奮は、その後の時間の経過とともに、今は我々の記憶から遠ざかりつつあり、現在ではただ単に、人類が成し遂げた記轟の一つとして語られる忙とどまり、他面ではむしろ人の心の中に、今も何か、はかり知れないむなしさだけを残しているのではないだろうか。そのことは、ただ俳人や歌人と言った特定の人達が、それまで月に対し487