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概要

satoh

誰かが「人間の思想が成熟するためには、気の遠くなるほどの時間がかかる」と言ったが、その「人類の思想が成熟するために必要なはるかなる時間」を一つの尺度として、これからの十六年間を測ってみると、それはほんの一瞬と言ってもよいほどの、極めて短い時間でしかないと言えると思う。繰り返して言えば、科学技術の進歩という面から見ると驚くほど長い"時間"である反面、人間の進歩という面から見ると極めて短い"時間"、それが今世紀末までに残された十六年間であると、私は考えるのである。このように、この二つの違った物差で測ったこれからの十六年間には、大きな時間のギャップがあり、この時間のギャップを人類がどのように認識し、立ち向かって行くか、また、そのギャップをどのように調和させるか、或いは調和-の道をどのようにしてさぐり当るか、それと、人類がともすると集いかけている天与のH英知"を自分の手に取り戻すことができるかどうかは、地球と人類の存亡にかかわる重大な問題であると思うのである。二十一世紀は輝かしい世代だと言う人が一部には居る。それは望ましいことであって、それを願わぬ者は一人も居ないはずだ。しかし、それは人類が人類本来の英知を、今世紀中に自分の手に取り戻し得た上でのことであって、もしも不幸にしてそのことに気付かぬままに、これからの十六年間を無為に過すようなことでもあれば、或いは二十世紀に生きた我々は、この不思議にして且つ美しい地球を、二十一世紀という次の世代に手渡すことができないかも知れないとの危倶の念を抱かざるを得ないのである。今回の論文募集に当って、出題者が振起したテーマが,どのような答えを期待してのことか、私には少々難解なのであるが、以上のことに視点を据えて深く探求して行けば、その中では或いはそれに答える鍵を見出せるのではないかと考え筆を進めることとした。2.荘漠たる二つの要素次に、「情報」という語を辞書によって見ると、・事の実際のありさまを知らせる(字源)484