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概要

satoh

第4回佳作は、自由な話し合いと意見の交換があるが、大衆には、一方的な語りかけと無批判な同調があるのみである。公衆にはな封国の自覚と自我があるが、大衆には自我の喪失と自己疎外がある。民族や公衆には、人間と人間を結ぶ共同体意識があるが、大衆には、むしろ孤独の意識がある.それは「孤独なる群衆」(リースマン)に転化しやすho公衆には、公共的関心があるが、大衆はむしろ、私生活-と逃避しようとする。民族は末永く伝えられる古典をもち、公衆は人に思想を与えその考えを創造的ならしめるような著作家の書物をもつ。けれども、大衆のもつものは、気晴らしのための小説であり、娯楽的週刊誌であ2)り、刺戟的なゴシップ記事である」と。これだけで、大衆のすべての側面をとらえているとはいえないかも知れないが、これら大衆の特性を掲げることが、すでに、情報化社会の構造をさぐっていることになると思う。そして、大衆の特性を、良き方向にどこまで導いて活用してゆけるかが、情報化社会の構造を、どこまで整えられ、良き発展-と導いてゆけるかということになってくるだろう。Ⅲ-4.マスコミュニケーション1960年、アメリカの大統領選挙で、ケネディが、ニクソンに対して、わずかの差で勝利をおさめたエピソードは、テレビが、歴史を演出したとして有名である.アメリカのテレビの有力数社の企画によって行なわれた、テレビの公開討論で、ケネディは、個人的な魅力を軸に、人々の心情に訴え、一方のニクソンは、審判団が採点しているというふうな状況を設定して、ケネディに語りかけるやり方をLたそうであるOその結果、民衆の味方であるというイメージで、大衆社会の英雄となり得たケネディが、勝利をおさめたのだとい3)う。二十年以上も前にして、マスメディアの効果は、このとおりである(当時、アメリカのテレビの普及率は、88%であったという)。現在の日本のように、テレビは一世帯に約一台、テレビとの接触時間は、平均して、各人の自由時間の約半分の、二、三時間を占めるという状態では、テレビの影響力は、相当のものであろう。473