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概要

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第4回優秀賞セスがある。つまり、知識は、その本質として、静的なそれではなく、解釈され、比較検討され、利用され、内面化され「身についた知識」となる過程の中で、変容し発展する実態なのである。そこでは、人間という学習し思考する存在が知識の担い手であるのだ0ところが、知識の電子化を担う電子装置群は、電子化された知識を記録し、伝達する事においては、高度の能力を発揮するが、人間における、それのように、均衡させ変容させるという事がない。当面は、個々の人間が記憶し、あるいは書物として、記録し伝達する知識の割合は、電子化されて伝達される知識の割合よりも、大きく影響はあらわれまい。しかし、あらゆる情報の電子化という傾向は、その記録性、伝達性、操作性の効率からいって必然であり、遠からず、この割合が運転し、我々の知識は、電子的装置群の蓄積した知識を主要な源泉とすることになろう。この場合に自動的には変容することのない、これらの知識源の硬直性が、知的な生産性に負の影響を与えることになるだろう。この硬直性は、コンピュータを利用した設計方式CADにおいて、現状の技術水準における最善の設計手法(すなわち知識)を完全にコンピュータ上に実現した場合、それを利用すればするほど、設計に対しての創造性が、一定の枠にはめられ、設計技術の進展を阻害することが、指摘され始め、すでに現実の問題なのである。第三の負の効果として、情報・知識の商品化からくる知識間のアンバランスの進行がある。古来、知識は、有料の学校教育や有価の書物等にみられるように、対価を払うべき「商品」であった。新聞の購読料が、他の商品価格に比べて、比較的安価であること、テレビ視聴料は、我々が、番組の間の広告に影響されて、商品を購買する間接的支払いの形式であることなどから、我々の意識は、情報知識が、商品である事実からそらされ勝ちであるが、特許料・技術料を思いうかべれば分かるように、情報・知識は商品である。431