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概要

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第1回優秀賞「開発途上国におけるリテラシー普及について」一人間と社会の開発-中島純一第1章権利としてのリテラシー今日、我国をはじめ先進国において教育の普及はめざましく、義務教育の定着・高等教育に占める高い在籍率等にその傾向がうかがわれる。教育機会は多くの人々に開かれ、その恩恵すら当然のものとみなされている。全世界の就学率は、年々増大する傾向にあるがその陰で見落としてはならない重要な事実がある。即ち初等教育普及の直接的成果のひとつであるリテラシー(literacy:読み書き能力)の恩恵に浴さない人々が未だに数多く存在するのである。イリテラシー(iliteracy=文盲)の数は、世界で約8億1400万といわれ(1980年)全世界の成人の約%を占める高い割合となっている。歴史的に高いリテラシー率を保持してきた我国にとって、このような高い文盲率に加えて今後しばらく文盲層の絶1)対数も増大していくという世界的趨勢は、実感としてなかなか捉えがたいかもしれない。しかし我国が位置するアジアが、全世界の約報を占める高い文盲率を有していることを鑑みるならば身近な問題として接近できよう。リテラシーとは、本来個人のもつ能力であるが、リテラシーが集合体として扱われる場合にそれは、単に個人、集団を超える大きな問題を提供する。たとえば、アジアの開発途上国に高い文盲率がみられるが、そこには、文盲の分布と貧困の分布の一致が表わされて2)いる-ことは、よく知られている。なぜアジア地域に高い文盲率が見出されるのか。出版産業・マスコミ産業の立ち遅れ、多言語国家といった経済的・社会的多くの要因も考えられるが、リテラシーと最も密接な関係にある初等教育に焦点をあてて考察してみたい。注1)FisheT.,E.A."Theworldliteracysituation:1970,198Dand 1990"Prospeets,VoL冗.No,1,1980 p.100具体的には第2章1図を参照されたho往2)PhiHips,H.A"LileraCyandDeve)opment"UNESCO,1970pp.24-25フィリップスはこの中で、リテラシー率の低さとGNPの低さを国別に検討し相関をあげている。 41