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概要

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ことを可能にしたテレビは､我々の世界イメージに後戻り不可能な強烈な変容を与えつつある.我々の世界イメージは､マス･コミュニケーションによって伝えられる量的に豊かな多様な広がりをもつ話過によって､はるかな地平線を､かつてない多様性を獲得した｡ところで､前節で､今日の情報･コミュニケーション技術は､情報流通網の急激な成長をもたらしたが､そこで取り扱われる情報の品質､人間の情報受容能力については､それを保証するメカニズムを内蔵していないことを主張した｡この事情は､ラジオ､テレビなどで伝えられる量的に豊かな情報の実質が､ニュース性のあるもの､うつろいやすいもの､快楽的なもの､理性よりは感情に訴えるもの､理解しやすいものに限定され､責に我々が必要である質的に豊かな情報から懸隔していることにみてとれよう｡人間の情報受容能力の限界を考慮しないで与えられる､刻々と変化する多量の情報は､我々の関心を浪費し､亮に重要な問題-の関心を消費している｡社会のイメージが､幾世代かにわたって､徐々に醜成され､緩慢に変化Lていた時代は､遠く過去のものとなった｡今日､我々は､めまぐるしく変化する環境と､｢情報洪水｣の中で､我々の自身のもつ社会のイメージを｢時代遅れ｣にしない為に､全力を払っているのが実情である｡社会のイメージの中で､主要な次元であるべき､平和､人権､平等､安全､貧困などの問題は､日々のニュースの中に埋没してしまい､社会における共通のイメージが､樹立されているとはいい難い｡マス･コミュニケーションのもたらす情報によって獲得した､社会イメージの表面上の多様性は､一般にいわれるように､価値観の多様性と呼ぶよりはむしろ､価値観の混乱と呼ぶ方がふさわしい｡一発の核ミサイルによって消滅する世界の中で､その事実に無関心で､今日的快楽を追求する価値観を､｢多様性｣と名づけることができるであろうか｡価値観の混乱を現出させた一つの主要な原因は､人間の情報受容能力-の慎重な配慮､情報品質の保証メカニズムを欠く､情報流通網の急激な革新にある｡明日の情報･コミュニケーション技術が､そして我々白身の創意工夫が､この原因をとり42占