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概要

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ルーヴル美術館の中でも人気を集めているモナ・リザ.微笑を作り出す口もとが、豊かな柔らかさを連想させる胸のふくらみが、神秘的な輝きを放つあの目が、人のJLせとらえてしまう。あの微笑の中に、胸の下に、目の奥に、何が隠されているのだろうか?何が流れているのだろうか?この疑問を解くには、レオナルド・ダ・ヴィンチが、生まれながらに持ち合わせていた天分もさることながら、活力に富んだ一生の間にどんな活動を、どんな努力をしていたかを調べてみる必要がある。彼が、自然および人間の現象を科学的にとらえようと行なった種々の実験、研究は落下運動の実験、物体の運動についての研究、天体や植物の研究、人体の解剖等々広範囲にわたっている。 [文献11)、12)〕特に着目したいのは、異常なまでの人体の解剖に対する執着である。冷たく硬直した体を切りさきつつ、流れ出す血にまみれながら行なった仔細をきわめる、骨格の構成、筋肉の組織、血管の分布等に対する観察が、一方では、現代の医学書に匹敵するまでの種々の解剖図〔文献11)、12)、16)〕として静的な形で表現されている。もう一方で、この仔細な観察は、彼のもって生まれたみずみずLい感性という=ぅゎぐすり"により、種々の人物画-モナ・リザをはじめとする聖アンナ、洗礼者聖ヨ-ネ等-として動的な形で表現されている。 [文献12)、13)、14)〕また、水流に関する詳細な研究で得た知識は、彼の"うわぐすり"により、あの"洪水=〔文献12)]という素描にみられるような動的な形に表現されているのだOレオナルド・ダ・ヴィンチは、たえまない努力にうらづけられた自然に対する鋭い観察力と、もって生まれた豊かな感性を使って、自分のエネルギーを昇華し、あの微笑の中に、胸の下に、目の奥にひそませ流し込んだのだ。人々の前に投げ出したのだ。そのエネルギーが私達の心に直裁に切り込んでくるのだ。この昇華され、みがきぬかれたエネルギーは、時間を超え、住む世界を超えて、私達の心の底に、静かにとどまることなく、脈々と流れている生命の力と共鳴するのだ.人間の408