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概要

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第1回最優秀賞をおいて他にない。一国の発展は、不断の技術進歩を必要とするが、適正技術の開発は、現地における研究活動の重要性を高め、従来の上からの技術革新とは異なり、出来るだけ多くの人々を開発過程に組み入れることによって全般的技術水準の向上を可能ならしめる機会を提供する。しかしながら、この可能性が現実のものとなるためにはいくつかの条件が必要とされることに注意しなければならない。まず、農民が生産性向上のための技術変化を受け入れる用意があるか否かであるが、彼らがこれまで新技術に対し積極的でなかったとすれば、それは単に保守的で変化を好まないからというよりもむしろ、その変化が彼らにとって望ましい結果をもたらLえなかったことに主たる原因が求められる.新技術が流通機構の整備や機械器具の修理、生産といった関連諸活動の存在を要するならば、技術の普及と同時にその発達が促進されなければならないL、また新技術の効率的普及を図る上で農民の教育および組織化が不可欠である。さらに、土地所有構造が農民の生産性向上-の意欲を妨げているとすれば、その変革が先決条件となる。従って、最新の機械の開発や優良品種-の改良、効果的な肥料や農薬を与えるだけでは片手落ちといえる。開発される技術が「適正」であるばかりでなく、そこで働く人々も「適性」がなければならないからである。その具体策として、現地に、「地域農業研究センター」(仮称)を設立し、そこで現地人に当地に最適の農業技術を指導すべきであろう。従来まで、「文化的」という意味は、先進諸国の文化的、という意味においてのみ用いられてきたが、本当の意味の「文化的」とはあくまで現地に根ざした、そこで芽生え、現地の人々によって育まれた「文化」に基づいたものであるという意味であるOそういった新しい意味での「文化的」な農業技術を、日本から派遣された指導者、篤志家の青年、大学教授、農業経験者など多彩な顔ぶれによる多次元的な指導者と指導方針によって推進してゆくべきである。いうまでもなく、農地改革はもとより農民の組織化、および生産性改善を通じて彼らの所得水準の向上も現行の社会的、経済的構造を根本からゆるがすことになる。その意味で35