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概要

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第1回最優秀賞味をもつと考えられる。また、農業、農村開発に不可欠な農民の組織化には外からの観念的な指導より実利的な動機づけが有効であることが、これまでの技術協力からわかったことである。日本の農業技術協力は、その活動を進めているうちに、農業技術の領域、あるいはそれに非常に近い領域でさまざまな新たな問題につき当たった.それは次のようなことである。(a)日本の得意とする稲作の分野でも協力がきめ細かくなるにつれて、技術知識の不足が痛感されるようになってきた。(ら)協力が稲作以外の分野に及ぶに至って、日本側にはなはだ乏しい技術しかないことがわかった。(C)協力実施中に得られた新技術知識、人材などを集積する場がない。(d)技術協力は受け入れ国の農場、農村段階における経営、経済、社会等に関する知識に裏付けられなければ実効があがらないが、これらの点に関する知識も全く不足している。実際、先進国の技術は、先進国がおかれている諸条件の下でその間題を解決することを目的として開発されたものにすぎず、発展途上国にとって必要な技術は要素昧存の相違、自然条件や制度条件の違い、技術を使いこなすべき人々の能力の差等、多くの相違によって先進国がもつ技術とは異なる場合が少なくない.したがって、発展途上国の農業の生産性向上には、それをその担L,手である農民を取りまく社会経済的、文化的環境の中で可能ならしめる技術を兄い出すことがまず必要である。発展途上国の必要に合致した技術を開発するためにこれまで主としてとられてきたのは、先進技術を現地の条件に合わせて徐々に修正してゆくという方法であった。もちろんこの方法で生み出された技術によって、生産性の飛躍的改善を達成した例はいくつかある。しかし、それは比較的制度的にも整備された地域の、新技術に必要な投入財を利用しうる状態にある農家が中心であり、決して全国的な広がりをもつものとはなりえなかった。33