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概要

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帯が生じるという一石二鳥の効果が期待できる。民間の人々による資金援助は、金額うんぬんの問題ではなく、そこに参加した人々の、「志」に大きな意義があるといえる。(対策(3)技術援助1970年代は、緑の革命によって生み出された食糧供給に対する楽観的見通しのうちに幕を開けた。若干の諸国で成功を収めた高収量品種と化学肥料の投入を基盤とする小麦や米の単位面積当たりの収量改善の技術は、発展途上国の多くの地域に普及し始め、これらの技術はさらに他の作物にも応用しうると考えられ、緑の革命は、その名の通り、'70年代には、食糧不足、栄養問題は大幅に緩和されると共に農村生活水準も向上すると予想された。しかしながら、1972年の世界的異常気象による凶作に鞘を発した食糧危機は、この様な楽観的予測を一転して悲観的なものにかえる一方、緑の革命の進捗速度の鈍化と同時にその一般的な適用可能性に対する疑問も呈示され始めた。その後、先進国では食糧供給の増大によって、危機感は薄らいだが、発展途上国においては食糧問蓮は依然として深刻であり、また農業部門の遅れが経済発展を阻害しているとの認識も冠着しつつある。このような状況の中で、農村の低所得層を形成する小農の生産性向上が、発展途上国における農業生産の増加と貧困問題、食糧問題への直接的対応策の重要な一環をなすものとしてクローズアップされつつある。制度的に未発達な農業では従来のような改良種子や化学肥料という工業生産物に依存する技術改良は農民にとってきわめてリスクが高く、工業化された農業の移植は困難であること、また新技術を効率的に普及させるためには農民が組織化されている必要があるが、経済発展過程で古くからの村落共同体のきずなが断ち切られたため、農民は相互に不信感をもち、容易には組織作りを行わなかった。伝統農業がもつこうした条件の下では鼻村外からの購入を要する投入財への依存度が低く、自然条件にかかわるリスクも低い技術が望ましく、農民がおかれている自然的、社会経済的環境に合致した技術としての在来技術の改良に基礎をおく技術進歩がより実際的意32