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概要

satoh

くということは、すべてが生理的な"血のせい'だけではなく、それを伝えて来た言葉なり、文字、習俗、宗教、或はまたそれ以外の何等かの人為的な方法があったに違いないOそして、この人為的なものは必ず取去ることができるはずで、救いのない憎しみを伝え、繰り返すより、これから100年-1000年をかけてでも、その憎しみを消し去る努力をすることにこそ価値を見出さなければならない。それは可能だと私は確信する。しかしそのためにはまず、それぞれの民族の指導者が,発想を転換し、心の置き所を変えて神の前に謙虚にぬかずき、真に「人を愛する」ことに徹し、英知を取戻し、そのための努力をする姿勢を示さなければならない。中国の故周恩来氏は「恨みを解きこそすれ、結ぶなかれ」と言った。また、かつて蒙古の原野を疾駆したジンギスカンですら、「友だちになるためには、まず相手に右手を差し出すことだ」と言ったと言う。いずれも、けだし名言だと思う。今回はイスラエルの強硬手段によって一時的には解決されたかに見える紛争も、これが永久解決につながると思う者は世界中一人も居ないだろう。武力によっての解決は所詮は一時しのぎにほかならず、将来いずれはこれまで以上にもっと陰湿で危険な関係が醸成されてくるであろうことは火を見るよりも明らかなことである。私はこの稿を書きながら思い出したことがある。それは、スエーデンの経済学者であるミュルダール氏が、「インフレ対策についてどうしたらよいか?」と問われたのに対して、「結局のところ、回り道のようではあるが教育ではないか」と、答えたという、その言葉である。何と、毒味のある言葉ではないか。国連大学はこのことについての研究と取組み、世界の指導者がこの「回り道」を選択し、民衆を指導教育し説得することこそ、世界の軍縮と安全保障-の道であり、更に人類の平和と幸福を約束する唯一の手段であることを知らしむべきである0研究課題三、現在の国連白身の問題点についての研究270