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概要

satoh

第3回佳作ろん、これは膨大な全世界の人々から比べれば、ほんの一握りにもならない数である。しかし、もし国連大学の活動がユニークなものであるならば、その賓のゆえに、秀れた影響力のある人々を集めることができるし、その人々に強い印象を与えて、それぞれの母国-、国連大学の仕事を広めさせることができる。あと、書き残した問題を二、三、羅列的に並べることにする。その第一は核兵器に関する法律的・医学的研究がなされねばならぬ、ということである。毒ガスが兵器として禁止されていることと、核兵器が放置されていることとの比較研究を是非行わねばならない。毒ガスは周知のどとく国際的に禁止されており、前大戦においても、ほぼ条約が遵守された.毒ガスが何故に禁止されているか、といえば、それは空気を広く汚染し無差別的に人を殺すことと、人を殺す方法が余りにもむごたらしvlからに他ならぬ.しかし核兵器はこの点において、比較にならぬほど徹底的に揮猛である。それは禁止されるのが当然であるけれども、まず何人をも納得させる詳細かつ客観的な研究が必要である。ところが法律的研究としてはアメリカのL・メイロウッツのものと東京地裁の判決くらいしかなく、昨年やっと、スイスと日本の法律家が動き出した程度であるという。そこで国際的な平和機関での研究が望まれる。その二は、法による防衛に関することであるが、分割国家の民族自決には特別な考慮がはらわれるよう、また充分に少数者の保護がなされるよう、どういう方策や協定が考えられるか、を研究する必要があるということである。分割国家は人為的に無理に分けたものであるから、形式的に、民族自決の投票などといって、全体をひっくるめた形で総意を反映させると、少数者地区の人民の意思がふみにじられる怖れがある。もう今ではそんな形式的な民族自決などというような扱いはされないようであるが、これは現在の最もデリケートな問題であるから、研究しても研究しても、研究し過ぎるということはないであろう。259