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概要

satoh

第3回佳作能であろう。だが相手が犯罪者であると理解することによって、これまでの通常犯罪者に対してそうであったように、官民は結束しうる。政府は日本国憲法の保障する、国民の主権・自由・基本的人権・財産等の確保に努め得る。侵略者は「自衛のため」である筈だから、乱暴狼籍はできず、国民生活は通常と殆ど変らない。そこで国民は戦火に曝される戟争状態の危険とは比べものにならない平時の生活を送ることができる。危機に、武器をもって戦って勝つか(この場合は勝つことも、負けることもある)、法に則って勝つか、である。公正な立場の裁判所も国民の各種の訴を受けて、駐留外国軍隊が違法な侵略であることを宣告することができよう。国民は侵略者の命令を聞く必要がない、かかる命令は一切無効である、と憲法は宣言しているのである。侵略者はわが憲法のゆえに、国民の主権・自由・基本的人権・財産等を犯さぬ範囲でしか行動できない。しかしそれで、彼等は一体何ができるのか。そこで、彼等が正当性を主張しつつ、しかも事態を打開するとすれば、日本国に憲法改正を迫るしかない。だが周知のように、それには両院の各三分の二と、国民過半数の賛成とを必要とする。旧憲法が新憲法にかわったときですら、旧憲法規定の手続きが厳格に守られた。そこで議員と国民に国を護る意思のある限り、憲法は改正されない。侵略者は為すすべなく撤退せざるを得ない。われわれは完全非武装で必勝を収められるのである。一方、侵略者は世界に愚行をさらしたことによって、国内崩壊の危機をすら持つ。以上の論理に私は誤りをどうしても見出せないので、軍事力は必要ないと思っているのであるが、国連大学でもっと詳しく検討されることを望んでいる。最終結論はとにかく、変らない筈である.国連憲章の民族自決の原則からいっても、植民地独立付与宣言からいっても、最終的に決着をつけるのは、人民の意思だけだからである。そしてこの議論が広く受け入れられるとき、軍縮は最もスムーズに進む筈である。軍事力が不要硯されるとき、軍縮に何の障害があろうか。このような法律論を展開するとき、なお、あった方が望ましいと思われる宣言や決議が明らかになるであろう。国連大学はそれを建設的に示すことができる筈である。例えば257