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概要

satoh

と、明らかに意表をつかれたことを表明し、「貴方は素人だといわれるけど、この間鋲には専門家はいないんですからね」と結んだのであった。法律が専門の人たち、殊に憲法の専門家ですら、安全保障の問題について、法律論を展開していないらしいと知って、私は非常に不滴であるOだから安全保障や軍縮に関する認識が根本的なところで深まっていない、と述べたのである。しかし一般レベルにおけるその認識はもっとひどいものである。例えば防衛に関する世論調査はきまって次の形式になっている。「もし外国軍隊が侵入してきたら、貴方はどうしますか。次の中から一つを選んで下さい。(1)戦う、(2)逃げる、(3)降参する、(4)そのときになって考える」質問する側も答える側も、持っているイメージというのは、戦火を交えて突進してくる侵略軍の姿である。この種の世論調査は定期的になされ、新聞その他で発表されるから、読者はそのたびにイメージを再確認するよう、再教育が性どこされている、ということになる。われわれは、自国の軍隊が劣弱で保護してくれない場合の恐ろしさは、1945年8月の満州の経験のようなものだ、といつまでも思いつづける。実際あのとき、ソ連兵の暴行・凌辱・略奪は窓になされたのであった。だからといって、しかし、その状況がいまも起こりうると思ったら、それは認識が誤っている。いま悪名高いゾビェトのアフガン侵入についても、ニュースはことごとく、状況を次のように伝えているのである0「ソ連軍はなるべく目立たないようにと心掛けている。ソ連軍が出動するのは夜になってからであり、軍隊の移動でもトラックに幌をかけて、外から見えないようにしている」。要するに,自衛の戦しか認められていないという現代についての認識が、いま国民にまるでないのである。このように、現代と前大戦までとを分けるものは国際連合憲章であるが、憲章の内容を知っている人々は一体、どの位の割合でいるだろうか.先達て「日本国憲法」がベストセラーになったのは、関心のある人でも如何に今迄憲法について無知であったか、を示すも242