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概要

satoh

第3回優秀賞これらのシステムは貧弱なものであるが、その充実は順調に進んでおり、将来は開発を中心とした諸問題についての世界的な情報センターが出現しよう。これら三点の特色を持つ国連大学の研究・実践活動は、既存の諸機関の機能を補完し、学界、第三世界、そして人類全体に大きな貢献をしてきた。しかし、その活動には一つの決定的とも言える弱点が秘かに隠されていた。それは、政治的要素のタブー性である。当然ながら国連大学は国連をその存立基盤とLている。そしてEl連は、各国の外交的利害がぶつかり合う国際政治の現場である。国連大学が設立時から最近まで政治性を避け、「対自然」の諸問題のみを扱ってきたのも、デリケートな政治問題を不用意に扱い、大学の存立それ自体を危うくさせないための「政治的」判断からであったと思われるoLかし、国連大学の活動が軌道に乗り、研究・実践も進み、またそれだけ「対自然」に限られた活動の限界が解ってくると、徐々に、「対人間」「対社会」の問題を取り上げようとする動きが出てきた。第三代学長となったスジャトキコ氏の、「物ばかりではなく心も扱う」という方針が、政治性のタブーを克服して結果したのが「軍縮と安全保障」という新しい課題なのである。従ってこの新課題は決して思いつきのものではなく、「対自然」に取り組んできた国連大学が、開発・人口・環境などの諸問題の延長上で直面した課題であり、「対人間」「村社会」の研究が「対自然」の研究と密接な関係にあることは忘れてはならない。勿論、こうした国連大学の内的事情とは別に、近年の反核運動やSSDⅡ前後の軍縮を求める人々の動きが、軍縮と安全保障の問題を世界的にホットな話題とした、といった背景もある。国連大学は何もこの流行に飛び乗ったという訳ではないだろうが、絶好の時期にこの課題を扱い始めたことになる。しかし重要なことは、たとえ流行としての軍縮・安全保障問題-の関心が消えても、息の長い着実な歩みを進めることであろう。以上述べてきたことを踏まえて、私は次の四点を基本的方針として、軍縮と安全保障の問題に取り組むよう国連大学に望みたい。221