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概要

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中でこの決定が下されたことは、注目に値しよう。その後の通貨危機の中で、73年にはスネークの共同フロート制移行が実施され、仏、英などがスネークを離脱するなど、欧州通貨統合計画は苦しい局面を迎え続けた。しかし各国の信念は揺るがず、多くの粘り強い努力の結果79年3月EMS (欧州通貨制度)が発足した。EMSはスネークより弾力的な変動幅を認めるとともにECU (欧州通貨単位)を創出し、将来の欧州統一通貨実現に大きく前進したといえる。EMSについてはなお厳しい状況にあり将来-の見通しは予断を許さないが、通貨制度の改革に関して重要な実例を提供してくれることは間違いないO最適通貨圏理論では、生産要素(労働、資本)の移動性が非常に高Lr,地域では単一通貨地域となる可静睦があるとされているが、欧州の試みはそれを実証することになるかもしれない。「地域圏」という考え方は、地球の統治の方法として少なくとも検討する価値はあろう。「わずか十二か十五の地域共同体システム--にまとめ、 -.・国家のすくなくとも十倍の規模で地域を再編していくのである。こうすることで国家至上主義というビールス菌9)を部分的にではあっても制圧することができよう」とする見解もある。また、プラント委員会はEMSを評価しながらも「こうした地域通貨圏を選択する方向は、それが最終的には世界の通貨制度改革全体の中の一部となるという見通しがあってはじめて意味があ10)る」としている。最後に、第四として階層的体制をモースはあげている。この体制は、西側五ヶ国もしくは六ヶ国がリーダーシップをとる体制である.すなわち、これらの国が政策調整を行ない,制度的に安定した時点で「南」および「東」との特別な市場制度を作り、全体の統一をはかるというものである.モースは、この階層的体制を最も望ましいとしているo理由は、各社会の自立性と自由の保持、および制度運営の明確なルールの必要性と国際中央銀行体制の非現実性である。同様な観点の見解は、ロストウの論文にも見られる。すなわち「さまざまな問題もあり欠点もあるが、それにもかかわらず西欧圏国際経済は、現在世界の中で機能しているすべての経済体制のうち、抜きんでて優れていることを立証してきた。 ・-・趨勢はすべて同じ一つの方向を指差している。それは主要工業諸国、そしてOECDグループ全体が、通貨の分野において共同の行動をとる必要性であ17占注9)7ウレリオ.ぺッチェイ(大乗監訳)『未来のための100ページ』読売新聞社、昭56、P.176往10)国際開発閉篭独立委員会、上掲書、P.265-266