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概要

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要管理政策と合流した場合クリーピングインフレーションを起こす可能性が強いoLかし、これを克服し新しい地平を切り開く理論的フレームワークは、未だに構築されていないのである.ケインズ流経済運営の後遺症ともいうべきインフレの完全な解明がなされていない時に、前節で述べたような経済の連関化、また、それを包蔵する新たなメカニズムが発生し解決不能の状態に陥ってしまったというのが、これまでの経過といえよう。経済学はその広義化を模索している.前述のドップァ-は次の四つの命題をあげている.すなわち「全体論的展望と学際的なシステム的接近、長期的変数の分析上の重視、経験的関連2)性-焦点を合わせること、政治経済学としての経済学の受容」である。これらは重要な指摘であり、第2章でさらに検討されよう。四つの命題とも第2章第3節で述べる世界モデルと関連するが、長期的変数の分析上の重視と政治経済学としての経済学の受容は別の観点からも重要であるOすなわち、現在の危機を克服するにあたっての指針および克服した後の世界についての考察は、社会科学としての経済学が避けて通れない道だと思われる。これについては第2章第2節で検討する。第3節問題複合体の発生第1節で述べた経済の連関化は、個々の間穎ではなく、実はさらに大きな規模の問題群の一つに過ぎないのである.ローマ.クラブのアウレリオぺッチェイによれば「人類は現在、全地球的な規模の、複雑に相互作用し合う長期的な問題複合体(プロプレマテイー3)ク)に直面している」のである。たとえば、現在、世界経済の最大の問題の一つである南北間の貧富の格差是正に関しても、その戦略は複雑多岐にわたっている。1969年に発表された国際開発委員会(いわゆるピアソン委員会)報告では、国際貿易の枠組みや開発援助の方法、組織等と並んで、人口の増加率を低めること、教育と研究のための援助を活発化することが、勧告されている.さらに、多国間援助粗織を強化することも指摘され、「勧告の目的は、新たな相互依存的な世界共同体における発展途上国と先進国との永続的かつ建4)設的な関係の樹立にある」ことが明らかにされている.すでにピアソン委員会は、問題の172注2)タルト.ドップァ-、前掲書、P.64注3)アウレリオ.べッチェイ(大乗監訳)『人類の使命』ダイヤモンド社、昭54往4)国際開発委員会(大束監訳)『開発と援助の構想-ビアソン委員会報告-』日本経済新聞社、昭55、 8版