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概要

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第2回佳作刺-の共通の認識がまだ確立されていないことを物語っている。B多国籍企業体制の進展経済の連関化を実証するもう一つの要素として多国籍企業がある。多国籍企業は、フローにおいてもストックにおいても世界経済に対して大きな影響力をもつようになってきている。直接、間接を含む民間長期資本移動は、1960年代前半と比べて1970年代後半には5倍以上になっており、なお急速に拡大している。また世界輸出に占める(アメリカ)多国籍企業関連輸出は1970年において24%を数えており、以後の日本、欧州系企業の伸長を加えるとこの数字はさらに高まっていよう。さらにその売上高が国家のGDPをも上まわる企業の出現している事実が、端的に世界経済の質的変容を示している。多国籍企業に関しては、70年代前半から大きな関心が集まり、国連の多国籍企業研究グループをはじめとして多くの見解がある。それらのいくつかについては第2章で検討するが、ここでは次の点を指摘するにとどめたい。すなわち、多国籍企業のマイナス面がいくつかの局面において現われているが、その原因は企業自体よりもそれを取巻く環境にあるのではないか、という点である。換言すれば、経済の主要な意思決定主体である企業が質的、量的に変容を遂げグローバルな経済主体となっているにもかかわらず、それをコントロールすべき政策主体は未だに出現していない点に原因は存在するのではないか、ということである。第2節経済学の危機現在の世界経済の危機は、そのままその解決の理論的指針たる経済学の危機をも示している。ドップァ-の述べているように「少なくとも危機なるものを時代の挑戦に対応しえぬ事態というふうに定義するかぎり、今日の経済学が危機に直面していることには疑問のl)余地がない」というのが、大半の経済学者の実感であろう。ポールディングが1968年に『経済学を越えて』を発表した時、大多数の経済学者は冷やかな態度をとったが、現在そのことを思い出すとただ頭をたれ白らの不明を恥じるのみである。前節で管理通貨体制を志向すべきであると述べたが、管理通貨体制がケインズ型の総需注1)タルト.ドップアー(吉村訳)「新しい理論範式を求めて」(『これからの経済学』所収)岩波書店、昭53 171