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概要

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第2回優秀賞しかし世界は現在、先進国間の貿易摩擦が増す傾向にあり、加えて中進国が輸出攻勢でそれをおびやかしている。従って、北北・南北協調型が望ましいといってもその実現には困難が予想されるo主として北北間の協調に手を貸す機構がOECDや先進国サミットであるとすれば、南北の協調に実効のある力を発揮できる可能性のある機構は国連であろう。しかし国連は総会も専門機関も現在は南北対立の色彩が強い。そうした中で、南北の協調に至る遺すじをつける役割を、あえて国連大学に期待したいのである。特に技術移転がひき起こす産業構造の変化にはっきりした見通しをたて、南北の調整機構の一端をになうならば、国連大学がこれから来世紀にかけて持つ意義ははかりしれなく大きい。調整とは、その見通しにもとづいて各国に必要な助言や勧告を行なうことである。貿易摩擦が高じて保護貿易に走る傾向が各国で目立ってきている現在、また石油価格の高騰が南側内部の分裂まで引きおこしているいま、事態は切迫しているといえるだろう。4多国籍企業の技術移転にはたす役割を分析・評価せよ多国籍企業が技術移転にはたす役割については、これまでいろいろなことがいわれてきた。途上国の富の収奪機関にすぎないという否定的な見方がある一方、市場機構を通じた技術移転の主役と見る積極的な肯定論があり、どちらも一面の真実を備えているといえるだろうoLかし『南と北』が指摘しているように(P.253)、現在世界におけるほとんどの技術開発をになっているのは、多国籍企業に代表される民間企業であり、その協力がない限り、技術移転が円滑に進まないことを認める必要がある。国連はすでにこの多国籍企業の技術移転にはたす一定の役割を認めた上で、その技術供給者としての圧倒的な地位を濫用する行為がないよう、行動に規制を加える動きを見せている。しかし規制を受ける、主として先進国側企業が自由な経済活動を阻害すると反対しているため、規制が一つの規範として承認されるまでには至っていない.このような状況を前にして、私が今国連大学の使命の一つと考えるのは、技術移転にはたす多国籍企業の役割にもラ-度、深い考察を155