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概要

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技術移転は人や物の移動によって行なわれ、その大半は商業ベースによるといわれる。しかし、国連や各国政府が行なう援助という非商業ベースの技術転移も、新しい国際経済秩序の構築にとって重要な意義をもつ。ただこれを支える援助の理念は様々だ。地球は一体であるという認識から人間の生存に必要な欲求をすら満足させられない貧困には皆が助けあわなければならないとする人道主義的な援助の理念に始まり、豊かな国がその繁栄を他国と分かちあうのは義務だとする考え、また経済の安全保障のためのコストであるとする考え、さらに東西の軍事的な、あるいは政治的な安定という方針にそった援助の理念に至るまであり、援助の主体となる国連や、各国ごとにそれぞれが異なる理念を抱いているといってよい。しかしながら今後は、世界が一つの理念にたって行動することが世界平和のために必要なのはいうまでもなく、技術移転を支える理念の統一も望まれる。プラント委員会は、軍事費の課税によって開発のための費用を捻出するという卓抜なアイデアを提示しているが(同書第七章)、それを実現するためにも、国連大学はこれまでの経済援助の理念を洗い直し、技術援助が軍備に変わりうるのだという援助のモデルを示す必要があるだろう。2必要ときれる技術は何か-技術選択への助言機能を発揮せよある開発途上の国が移転しようとする技術を選択するとき、その国は非常に重要な出発点に立っている。資本が不足している国にあっては一定の資本でできるだけ高い産出高をあげる技術を選ぼうとするだろうし、また長期的にみれば経済成長を極大にするような投資につながる技術が望ましいともいえる。そして労働集約的な技術を選ぶべきか、資本集約的な技術の方がよいのかも、大きな課題である.ただ何にも増して重要な点は、技術を受け入れようとする国がもっている歴史、風土や文化的な特性をその際十分に考慮すべきだということである。今日もはや、欧米や日本などの先進工業国は、いくつかある経済発展のモデルの一つを提供しているにすぎないのであり、決してすべての国に対する普遍的152