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概要

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に存在している。先進諸国では、今後経済の政治化により、介入の機会が多くなり、国内の産業構造調整政策と貿易政策が表裏一体となる傾向にある。各国にとっては、国内の特定利益グループに配慮すべき点と国際的枠組みの中での国際協調-の政策の選択が相反する場面が続き、それが低成長の続く限り、貿易自由化を打ち出しにくい状況となっている。先進諸国社会で進行している経済価値観の多様化は、各政府の打ち出す経済政策の最終目標をどこに置きどのような手段で実現するかの合意を形成する上で困難な作業を伴ってくる。即ち、適正経済成長率の維持、完全雇用の達成、インフレを収束し物価安定を図る等いずれも低成長下では同時に解決しにくい課題であり、優先順位をつけるには時間を要することになる。そのような状況に於いては、保護貿易措置のような短期的に自国に利益を生み出す政策選択に走りやすく、自由開放貿易体制-の協調政策は打ち出せないことになる。保護貿易主義の圧力に政治的に対抗することも困難な場合が多い。一般国民の政治-の無関心が増える中で、貿易の自由化により短期的な損失を受ける対象者は明らかであり、容易に組織されるが、一方、安価な産品を購買出来る一般消費者は拡散していて組織された力をもっていない。その為、保護貿易措置がある少数グループの労働者に対する暫定的な政治的回答となりやすい。このように各先進諸国は保護貿易措置に走りやすい構造要因を抱えている。近視眼的な保護貿易主義は根本的な経済的困難の頁の解決策をもたらすものではないが、保護貿易主義に訴えることは現在では政治的に魅力ある選択とされている点で問題は大きいO134