ブックタイトルsatoh

ページ
133/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている133ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

第2回佳作「保護貿易主義と世界的経済危機」川村幸夫Ⅰ.世界的経済危機の構造要国である先進国の保護貿易主義1.台頭する先進国の保護貿易主義の背景保護貿易主義の主張は18世紀末から19世紀前半にかけて、当時の自由貿易論に対抗して出てきたものである。当時の新興工業国であったドイツではリストの生産力育成論、アメリカでは-ミルトンの工業保護論にみられるように主として関税措置により、自国の幼稚工業(InrantIndustry)の保護育成の観点から展開された論理であった。その後、国防keyhdtJヨtryのための基幹産業保護、雇用増大のための成熟産業保護、社会政策的見地からの産業保護等多くの保護論主張が展開されてきた。一方、強力な保護貿易政策は、1929年の世界恐慌後に於いて欧米各国が実施した為替ダンピング、関税競争、輸入許可制、輸入割当制などを中心とした保護貿易措置を経済的国民主義の名のもとに行なった結果、世界経済のブロック化をもたらし、第2次世界大戦の原因の一つとなった。1)今日の世界経済がFI]滑に機能していないその危機構造の一つとして先進諸国が自国の経済構造の問題点を外に押し出す貌で開発途上国に対して行なう保護貿易主義が挙げられる。本論文で対象とするのは、先進諸国が開発途上国に対して実施している新保護貿易主義と言える内容のものである。その世界経済に及ぼす悪影響を正確に検証し問題解決にグローバルな合意が得られない注1)本論文の先進諸国は、具体的にはOECD加盟国を指すO 131