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概要

satoh

第2回優秀賞に考えなくてほならないのは、発展途上国でも特に農村地域ではないだろうか。発展途上国の農村地域には、幸福度の最も低い人々が多く生活しているからであるOここで、その農村地域の経済開発を考える場合、常に彼等の望んでいる経済発展とは、どのようなものなのかということを認識しながら戦略を考えなくてはならない。さもないと、私達は、責の目的というものを忘れがちになってしまうからである。今までに、多くの経済開発戟略がこの地域に展開されてきた。しかし、その多くは、都市住民と農村部の人々の格差の増大であり、それにより、政治的にも力が強くなり、急速に成長してきた少数の都市住民に、援助などにより、更に、利益をもたらした。そして、2)農村部の人々は.その利益を望む為に、農村から都市-と多くの人口が移動していったoLかし、多くの発展途上国では、このような人口流入に十分応えうるような受入体制が都市部に於いて、できていない為、その移住者の多くは失業してしまい、そのまま都市に居すわり、スラムを拡大してしまっている。多くの場合、発展途上国向けの経済開発戦略の結果は、このようなものになっているようである。内実はこのようであっても、外に現われてくる経済成長率は、高いものになってくるoそれは、一部の都市に於いて多少の工業化が行なわれ、それによる産出率が急激に高まるからである。しかし、発展途上国の人々の望むものは、高い経済成長率ではない。このような矛盾は、経済開発戦略を考える人々、援助をする先進工業国に問題があるO経済開発戦略をたてる人々は短期的によい数字の結果が出るものを望むし、先進工業国では、できるだけ早く投資した資本を回収することを考える。これでは、彼等が望む幸福-と導くことは難しい。このような経済開発戦略と異なった、農村地域自休-の開発戦略はどうであろうか。このことについて、ロバート・マクナマテは世銀総裁時代に次のようなことを述べている.「ダムが完成してから水が実際に農民のところ-届くまで、10年以上かかったケースが多すぎた。大きな濯概計画は、農業改善のために必要な資源を横取りしてしまう場合がままある.大きな川を制御するという劇的事業は、乾いた農地に少Lずつ確実に水を供給するという単調な仕事より、はるかにおもしろいには違いない.だが、何百万という自作農旺2)世界銀行『世界開発報告』1980年、表19労働力、138頁117