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概要

satoh

「発展途上国のGNPはここ10年間、空前の成長をとげたにもかかわらず、 8億近くの人びとは、不衛生、栄養失調、文盲といった悪条件のもと、 1日30セントの収入でかろ6)うじて生きてL,る.-・-」このような状態を作ってしまった原因は、経済開発戦略の目的を本来のものと違ったものに置き換えてしまったからであろう。私達が経済を発展させる東の目的は何であったのか、もう一度立ち返る必要がある。マクロ的な見地で戦略を考える必要も、時には重要であろう。しかし、今日の発展途上国の人々が望んでいるのは、経済成長には現われてこないものも多くあるのである。私達は、これまで経済開発戦略の結果の成功、不成功を問うのに、経済成長をみてきてしまった。けれども、この指標は、本来の目的の実数を捉えるものではなかった。その為に経済開発戦略の方向が,短期的に効率よく現われるものを追い求める結果になってしまったように思われる。そこで、私達が、これから求める開発戦略の方向というものは、その本来の目的を見失わないようにしなければなるまい。上記したことを考え合せてみると、経済開発戦略の目的に従った方向性として、次(グラフ1)のようなものが考えられる。このような方向で、それぞれの国が経済開発戦略を行なうことこそ、本来の目的に適ったものであろう。このグラフの横軸にとってある「幸福度」というものは、後に詳しく説明する。このグラフから明確になることは、低所得国、中所得国(一般的に発展途上国と呼ばれている国々)は当然のことながら、彼等の目的を達成する為には、横軸の方向だけに伸びて行くことは不可能であろう。その為に縦軸と横軸のバランスのとれた成長が望ましいわけであり、これを再認識する必要があろう。また、今日のOPEC諸国のような資本余剰石油輸出国では、その経済成長率を抑えても、国全体が亮に潤う為には、横軸の成長を考えなければならない.確かに今E]のOPEC諸国は、国全体をひとまとめにしてみると、金銭的に酎荷たされているoLかし、「幸福度」という面でみると、やはり、まだ発展途上国であると言わざるを得ないだろう。OPEC諸国の経済成長は、一部の人々に、108注6)SusanGeorge,How theOtherHalfDies,London,1977(小南祐一郎・谷口真理子訳『なぜ世界の半分が飢えるのか』朝日新聞社、262頁)