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概要

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第2回4)告で、発展を「成長プラス社会的・文化的・経済的変化の総体」としている。優秀賞ここで、前記したロピンズの定義が、なぜ経済開発戦略の目的に成り得ないのか述べてみよう。ロピンズは経済発展の内容を1人当たり所得の変化にのみ注目している。しかし、これだけでは、経済の量的変化を意味する経済成長と何ら変わるところがない。この経済成長というものは、経済開発戦略にとって、1つの方法であるかもしれないL、また、それによって表わせる経済成長率は、経済発展の1つの指標になるものかもしれないが、目的、目標に代わるものではないということをはっきりさせておく必要があろう。キンドゥルバーガーやペルー、また国連の事務総長報告に示されている「経済発展」というものは-,どれも質的変化と結びつけて考えられている。この質的な向上こそ,経済開発戦略の目的である。例えば、リベリアやリビアのように長年の間、特定生産物(ゴム、5)石油)の生産増大が住民の生活水準向上や社会変化と結びつかなかった事例については、経済開発戦略が失敗であったと考えるべきなのである。言い換えると、経済開発戦略の目的は、その対象となる地域に住む人々全体に及ぼす質的な向上である。つまり、その地域住民の一人一人に、「幸福」をもたらすこととも言える。この「質的な向上」「幸福」というものは、実際、測定することは非常に難しいし、また形となって顕著に現われてくるものでもない.「幸福」とは、個人個人のある心の状態であり、客観的には判断することが不可能なものかもしれない.しかし、私達が経済開発戦略を行なう時、決して目を背けてはならない目的である。これまで、多くの経済開発戦略が行なわれてきたが、その多くは、目的を成果のわかりやすい経済成長に置き換えてしまった。例えば、GNPの成長を上げる為に多くの時間と資金を費やした。それにより確かに幾分かのGNPケ封申びたが、その地域の住民一人一人の生活は何一つ変わらないものや、また、その戦略以前より、生活が一層苦しくなったものまである。このような実際の事例は、過去の戦略結果の報告書をいくつか見てみれば、苦労せずに探し出すことができるであろうOている。世界銀行の総裁時代に、ロバート・マクナマテは次のような言葉を残し注4)UnitedNation,TheU.N.DevelopmentDecade.PT・opoSalsforAction,New York,1962,PP.213注5)西Jrl潤『経済発展の理論』昭和53年6月10日、日本評論社、15頁107