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概要

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「世界の求めるもの国連大学研究の方向と役割」三木克彦一九九〇年代は、二十世紀の最後の十年であり、二十世紀交響楽の最終楽章といえる。地球や人類の歴史の長大な流れのなかで、世紀論の意味は小さく薄く見えるが、二十世紀において人類が経験したさまざまな創造・変革・破壊・消滅を検証するとき、二十世紀のもつ大きさや重さに気づき、驚惜する。一九九〇年前後に、我々は、思いもかけぬ大きな世界の構造的変化を経験した。世界のさまざまな人々が、それぞれの立場で進歩であり、理想であると信じて構築した壮大な二十世紀のもろもろの成果が、音を立てて瓦解し、あるいは、回復Lがたい傷を負った。政治的体制においては、ソ連邦・東ヨーロッパ諸国に見られる強大を誇った共産主義国家体制の内部的崩壊、湾岸戦争におけるイラクの暴挙に見られる民族的軍事国家の破滅的敗退、経済的活動においては、国家・圏域間における経済的格差の拡大・摩擦の激化、貧困と飢餓の深刻化,自然環境の面では、-イテクノロジーやエネルギーの多用等による地球環境の総体的悪化等があげられる。コミニズム体制、民族自決主義、自由貿易主義、核エネルギー、-イテクノロジー、これらは、それぞれ二十世紀の星であり、旗であった。これらの体制主義や科学技術は、二十世紀社会の輝かしい理念として登場し、世界的に充分活躍し、世界の進歩に貢献し、賞賛された。場合によっては、相互に対立し、争闘し、弊害をもたらし、憎悪もされた。最近における世界の基本的変化は.二十世紀において支配的であった体制主義が、また科学技術が、自らの自己運営能力を欠いて魅力を失い、新しい世界の潮流-の適応力を欠きつつあるということができよう。いわばその歴史的使命を終りつつある。1008