ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

スイス5頭、英国2頭、米国フェアファックス6頭、米国ロサンゼルス6頭)が、活動したが、海外チームによる生存者の救出は0名であった15。阪神・淡路大震災時に被災地で活動したスイス及びフランスに焦点を当てて述べる。フランスは、阪神・淡路大震災において国際救助チームの搜索員27名と災害搜索犬5頭の支援を申し出たが、東日本大震災においては国際救助チームを出動させず、毛布、食料、水等の生活必需品のほか、原子力災害という特質を考慮した線量計、個人携帯用線量計、放射線サーベイメータ装備車両、トレーラー、防護服等の原子力災害関連物資、支援金を提供した16。スイスの国際救助チームは、2011年3月13日から16日の間で、地震と津波で壊滅状態になった宮城県登米市北部約30キロメートル周辺地域で捜索活動を行ったが、生存者、遺体を発見できなかった。ⅱ国際搜索救助チーム受入れ時の課題搜索活動における受入れ時の課題を分析すると、国連人道問題事務所(UNOCHA)が、地震及び津波に関する被災地状況を世界に向けて発信するため作成した“SituationReport No 15 17”によると、諸外国の捜索チームは、福島原子力発電所80km圏外を捜索したというように、捜索地域が限定されていたことが、挙げられる。また、東日本大震災において日本で初めて展開された国際災害評価調整チーム(UNDAC)のロジスティックス担当として活動した沖田洋介氏の証言18を要約すると、1水に浸かり流されることで崩壊建物に空間が空きにくい津波という災害の種類では、被災地到着まで時間のかかる国際緊急援助隊が生存者を救出できる可能性が低いこと、2発災後96時間を経過後、入国してきた捜索チームがあったこと、3発災後2週間以上経過した3月28日の時点でも政府発表では、「捜索救助(Search and Rescue)のフェーズはまだ終わっていない」と世界に発信したこと、4日本と欧米諸国とでは、生存者と遺体に関する捜索救助の概念と用語が異なっていること(諸外国では、遺体(body)の救出は、“recover”又は“body recover”と表記するが、日本では遺体に対しても捜索・救出(Search96615 UNOCHA: Japan Earthquake & Tsunami Situation Report No.9 (30 March 2011), 2011b.16 MOFA: Lists of Relief Supplies and Donations from Overseas(As of October 17 2011)17UNOCHA:JapanEarthquake&TsunamiSituationReportNo.7(18March2011),2011.18 沖田洋介「東北地方太平洋沖地震―国際災害評価調整チーム(UNDAC)の活動について」『自然災害科学』2011年、285頁。