ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第28回佳作2両震災における国際搜索救助チームと救助犬受入れの事例・課題(1)阪神・淡路大震災4?国際搜索救助チーム受入れ事例阪神・淡路大震災における国際捜索救助チームと救助犬受入れの事例として、1995年1月17日16時30分に在京スイス大使館より、災害搜索犬25頭、職員60名と専門機材を有する捜索緊急チームを用意するとの申入れが外務省になされた5。その後、外務省を介して救助犬派遣の打診を受けた国土庁は、兵庫県の意向をもとに、一度「受け入れる態勢にない」と返答したため、翌日、国土庁・消防庁からの相談に基づいて、農水省により救助犬の検疫を事実上省略する措置が取られ、スイスへの派遣要請がなされた6。同日17時に在京フランス大使館より60名の救助隊員と災害搜索犬と専門器材提供の申入れがあった。同日中にロシア、イスラエルからも同様の申出があった。18日にはアルジェリア、ドイツ、ハンガリー、シンガポールからも申出があり、最終的には15か国から国際捜索救助チームの申出があった7。ⅱ国際搜索救助チーム受入れ時の課題搜索活動の受入れ時の課題として、古森勲によると「海外からの支援に対する日本側の対応の遅れについて、受入れOKが出るまで時間がかかったことから出発が遅れた8」と述べ、読売新聞社も「政府非常災害対策本部に外務省は入っておらず、支援受入れの窓口・判断態勢も不明であったため、震災直後の直接受入れには時間を要した9」ことを指摘し、諸外国の搜索チームに対する受入れ態勢が整っていなかったことを要因として挙げている。また、河田恵昭氏の証言10を要約すると、1欧米の救助犬はコンクリート構造物倒壊における訓練は行っているが、日本式の木造住宅倒壊における訓練は行っていないこと、2ロジスティックスの面で自己完結型のチームになっていないこと、3通訳を同伴しないチームに対して日本側から通訳を付けたこと等を要因として挙げている。4西川智「阪神・淡路大地震でみられた国際救助活動のミスマッチ」『地域安全学会論文報告集NO.6』1996年11月、265 ? 266頁。2003年11月15日に独立行政邦人国際協力機構(JICA)兵庫国際センターで開催された国際シンポジュウム「災害援助と阪神・淡路大震災の教訓」記録より、河田恵昭阪神・淡路記念人と防災未来センター・センター長の発言を引用。5西川「国際救助活動のミスマッチ」265 ? 266頁。6小里貞利『震災大臣特命室震災7と闘う男たちの記録』読売新聞社1995年8月、37頁。7西川「国際救助活動のミスマッチ」265 ? 266頁。8古森勲『阪神・淡路大震災』朝日新聞社1996年2月、323頁。9『阪神・淡路大震災』、104~105頁。10「災害援助と阪神・淡路大震災の教訓」記録。963