ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

ページ
920/1096

このページは 佐藤栄作 受賞論文集 の電子ブックに掲載されている920ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

佐藤栄作 受賞論文集

響を与える目的とした活動には、多大な時間と資源をつぎ込んでおり、ややもすると、西側に向いた活動に傾きがちであり、とくにアメリカへの配慮があるとさえ言われます。ですが、人権の伸長のためにも、世界的視野に立って、アジア開発途上国の人権保護活動にも目を向けるようになりました。(6)人権条約委員会のNGOの評価人権条約委員会でのNGOの非公式的役割の重要性が認識されるようになりました。それは政府機関としての地位の確立しつつあることの証左であります。人権条約委員会の公式行事に参加すること、情報を提出し、締約国政府の報告書の審査に情報を提供したりすることで、NGOの評価を高めたと言えます。〔2〕「冷戦」終結以後とNGOの果たす役割-中国の台頭と東アジアを巡る情勢-一九八九年の冷戦の終結は、国連の全般にわたって、改革を引き起こしました。まずはじめに戦後処理に関しては、国連がまっ先に、取り組まねばならない問題でした。国連の中心的機関の安全保障理事会の改革が一九九三年に始まりました。冷戦終結後の様々な問題を解決するために、安全保障理事会に作業部会が設けられました。冷戦終結によって、安全保障の枠組みが変わることにより、「安全保障」という言葉の意味あいも、それ自体変わってきました。米国・ソ連という両陣営の問題から、中近東への軸足を移し変えることに、なりました。さらには、最近では、中国の経済・軍事力の急激な成長は、冷戦終結時には、予想すらできませんでした。しかしソ連崩壊により、関連諸国の独立は、国連活動に大きな影響を与えることになりました。従来の安全保障は、国家の政治的・軍事的脅威から守ることが主体であり、広い総合的な安全が追求され、国の安全保障は、もとより地球全体の安全と、国民一人一人の人間の安全保障、さらには人権問題まで拡大され、クローズアップされるようになりました。一九九二年の第四回人権条約委員会において、「非政府組織(NGO)の役割の拡大」の勧告により、人権規定のモニターとしての情報伝達918