ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第27回最優秀賞困を削減し、格差を縮めて、公平な社会を構築することが、今、改めて求められている。保健分野に携わるNGOの役割は、単に医療や保健の指数を良くすることだけに留まらない。社会の慣習や法律・政治的な価値観と深い関連性があり、政府などの公的保健機関だけでは達成できない分野だからこそ、NGOの役割が期待されているのだ。第6章NGOと国連の未来NGO、とりわけ国際的に活動するNGOが世界を変え始めている。なぜ変えようとしているのか、そして、どのように変えようとしているのか。私は、現在の国際関係・世界市場・グローバル社会で、時代の要請として出現したNGOや社会運動が、ガバナンス改善のために地球市民社会の地平を拓きつつあると捉える。グローバル・ガバナンスとは、「個人と機関、私と公とが、共通の問題に取り組む多くの方法の集まり」であり、「相反する、あるいは多様な利害関係の調整をしたり、協力的な行動をとる継続的なプロセス」である22)。ここでは、NGOが貢献する均整のとれた平和と開発のガバナンス、新しい公共性をめぐるリーダーシップとパートナーシップ、迅速性と持続性をめぐる地球市民社会の可能性・課題について考える。6-1平和と開発のガバナンス人権の平和と発展を目指すために、国連システムは平和・人権の問題と経済・社会の問題を中心に扱うよう組織された。平和と安全保障の問題は安全保障理事会、人権・人道や民主主義などガバナンスの問題については総会、経済社会問題については経済社会理事会と関連専門機関やIMF、世界銀行、WTOなど、環境と開発については国連システム内外の多国間環境協定が担当している。平和、人権、開発、環境といった政策領域は、国家や国際機関の近代行政が細分化された専門分野を所掌する中で、1980年代頃までは特定の政策領域やイシューに焦点を当てるNGOも多かったが、その後のグローバル化によってこれらの課題群が密接な相互関連22)グローバル・ガバナンス委員会『地球リーダーシップ―新しい世界秩序を目指して』(日本放送出版協会、1995), p.28869