ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

高いものとして位置づけられている23。「核兵器なき世界」というと、われわれは大量破壊兵器としての核兵器を想起しがちであるが、国家の安全保障よりも、国際人道法が要請する人道的要請に真摯に応えようとするならば、劣化ウラン弾の規制についても積極的に取り組み、そして規制していく必要があろう。この点、国連の役割は大きいと言わなければならない。6シンクタンクとしての国連大学の活性化シンクタンクとしての国連大学の活性化に関する研究も重要である。国連大学は日本に所在し、国連の活動に関わる様々な研究がおこなわれている。国際紛争などに直接関与する安全保障理事会などに比べれば24、主要機関でもない国連大学は地味な存在であるともいえよう。しかし、国益が絡む国際政治とは違った、公益の概念および科学の観点から研究がおこなわれる国連大学での成果は、今後の「核兵器なき世界」の実現に向けた国連の活動にとって重要な意義をもつに違いない。国連大学の使命は「国連とその加盟国および国民が関心を寄せる、緊急かつ地球規模の問題解決のための努力に、学術研究と能力育成をもって寄与すること」であり、その主要な役割は、第一に、学者・研究者の国際的共同体としての機能、次に、国連と世界の学術社会の「懸け橋」、第三に、国連システム全体のシンクタンク機能、そして最後に、能力育成、特に途上国における能力育成支援である。こうした中で、国連大学は研究テーマ別の課題に取り組んでおり、平和に関する課題として人間の安全保障と武力紛争が挙げられている。したがって、軍縮の分野においてもその研究活動が及ぶところであり、「核兵器なき世界」に向けたグローバルな知見を集積するとともに、これを実現するための研究の遂行が望まれるところである。国連は所詮、各国の集合体であるかもしれない。しかし、近年においては、国際社会に共通の問題(global issues)としての地球温暖化も登場し、国連加盟国は自国の国益よりも国際公益に優先順位を置くことが求められ、それを加盟国の方もある程度は受け入れて84623 例えば、国際行動センター・劣化ウラン教育プロジェクト『劣化ウラン弾湾岸戦争で何が行われたか』(日本評論社、1998年)、NO DUヒロシマ・プロジェクト/ICBUW編『ウラン兵器なき世界をめざしてICBUWの挑戦』(合同出版、2008年)所収の論文や資料を参照のこと。24核軍縮に関する安全保障理事会の活動は、以下2つに大別できるという。すなわち、事例毎に対応する行動(reactive case-oriented action)と、予めテーマを設定した取り組み(proactivethematic efforts)である。Jane Boulden, Ramesh Thakur, and Thomas G. Weiss, supra note (2), p.12.