ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

「地球環境問題と二十一世紀の国連」第17回優秀賞野林亮一.はじめに本論文は、地球環境問題という観点から、二十一世紀の国連が担うべき役割を考察するものである。地球環境の危機が叫ばれて久しい。酸性雨、オゾン層破壊、海洋汚染、土壌汚染、温暖化、有害化学物質、砂漠化、熱帯林喪失など、さまざまな環境問題が指摘されている。地球環境問題は、近代システム全体に対する問いを突きつけている。大量生産、大量消費、大量廃棄の経済システムのみならず、人間の活動を自然の制約から切り離す近代合理主義も、再考を迫られている。こうした中で、国際社会はどのように変化しているのか、問題解決のために何が必要なのか、国連はどのような役割を果たしうるのか。地球環境問題という観点から、二十一世紀の国連のあり方を考察するのが、本論文の目的である。第二章では、現代世界を構成している主権国家を、地球環境への対応という点から大きく三つに分類する。第三章では、世界が抱える問題は安全保障、経済、環境の三つに分けられることを説明する。第四章では、そのような世界において国連に求めらる機能は何かを考え、具体的な国連改革の方向性を示す。二.国家の三類型(一)共時システムと通時システム本論文では、「共時」「通時」という概念1を用いる。まず、その意味するところを確認しておく。1「共時」および「通時」の概念は、基本的に、加藤尚武『環境倫理学のすすめ』(丸善、1991年)の用法にしたがっている。ただし、同書では明確な定義がなされていないため、筆者なりに定義した。63