ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

対処する必要を協調した決議が採択された。90年には気候変動枠組条約に関する政府間交渉(INC)が設置され、92年5月にかけて実質6回の会議を経て条約作成作業が完了した。92年6月にリオで開催された「環境と開発に関する国際連合会議」(地球サミット)では、気候変動枠組条約が採択され、その2年後の94年に発効した。それを受けて、95年にベルリンで開催された第一回締約国会議(COP1)から議定書制定交渉が開始され、97年のCOP3では京都議定書が採択された。そして、2000年11月のハーグにおけるCOP6、01年7月のボンでのCOP6再開会合で京都議定書の中核的要素である、吸収源・途上国支援・遵守制度に関する基本的合意が成立した。その後、毎年開催され、今年07年のCOP13に至るまで詳細なルールが合意されているが、一進一退であり、京都議定書を超える合意形成・または劇的な発展はない。京都議定書の最大の特徴は“Cap and Trade”と呼ばれる排出権取引を盛り込んだことである。その上で、2012年までに米国も含めた先進国で温室効果ガス排出量を1990年比で5.2%削減することを狙っているが、最大の温室効果ガス排出国の米国は議定書を脱退している。京都議定書の問題点京都議定書の詳細な問題点を挙げたら限が無いが、最大の問題点は、最大の温室効果ガス排出国である米国が議定書に参加していないことと、途上国は議定書に参加していたとしても削減の義務をまったく負っていないことである。仮に、先進国が90年比で5.2%の削減を実現したとしても、途上国がこのままの勢いで経済発展を続け、人口が増加した場合世界全体で30%も温室効果ガスが増加すると予想されている1。また、排出削減義務が無い中国は現在世界第二位の排出国であるが、数十年後には米国を抜き世界一の排出国になると予想されている。そして、京都議定書は2012年までの排出削減義務を規定している議定書であるため、2013年以降どのような気候変動枠組条約を制定するかが重要な課題となり、その際に、6041 IPCC第四次調査統合報告書環境省ホームページhttp://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/interim-j.pdf