ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第24回優秀賞地球環境を改善する国際枠組みと国連の役割―人間のさが愚かな性を乗り越えて髙木功介要約本論では地球温暖化問題に焦点をあてて、2012年以降の気候変動枠組条約(ポスト京都議定書)制定に向けた国連の役割について考察を試みた。本論の狙いは途上国を含めた全世界が議定書に参加し、各国が温暖化対策に真剣に取り組むことを求めている。そのために、取り敢えずは政策・措置導入に対するコミットメントという緩和的な内容の議定書の締結を目指し、そのペースメーカーとしてNGOと連携した国連機関が協力・監視するというシステムの確立することを提言したい。それには以前から叫ばれつつ実現していないUNEPの強化ではなく、WEO”WorldEnvironment Organization”の創設が望ましいと考える。UNEPは執行権をもたない限定的な権限しか有していないが、これまで、環境情報とデーターベースの構築、政治的外交的介入によってオゾン層の保護、生物多様性の保全、砂漠化防止のための国際条約交渉の調停役を果たし、WMOと共にIPCCを設立させるなど活動が目覚しく、今後も存在は更に重要になると考えられている。しかし、UNEPは政治的権力と資金不足に悩まされている。UNEPの設立時から20年間の予算総額は10億ドル以下であり、他の国連機関の予算より少ないだけでなく大型環境NGOの予算よりも少ない。また、UNEP職員は300~400名で各国の環境関係官庁の平均人数よりも少ない。なおかつ、本部がケニアのナイロビにあり、国連機関や世界の環境機関との連携は非常に困難な状況にある。加えて、持続可能な開発委員会(CSD)、地球環境ファシリティー(GEF)事務局など世界各地に点在する国連の環境問題関係の事務局、そして、気候変動問題、海洋汚染、生物多様性関601