ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

いるため「シナリオC」にあてはまる。また、アメリカの場合は京都議定書から脱退した経緯より、「シナリオF」になる可能性もある。中国とインドはともに、先進国の数値義務は必要だが途上国は自主目標にとどめるとして「シナリオB」に当てはまる。中・印もまたアメリカ同様、自国に不利な枠組みとなった場合は、批准しない恐れもあるため「シナリオE」にも当てはまる。最後に、小島嶼国は、EU同様すべての主要排出国に厳しい数値約束を求めているため「シナリオA」となる。以上をまとめると、【図6】のようになる。日本の主張がすべての国に亘っているものの、他の国の主張は平行線で交わらず、妥協点を見出すのは困難である。主要排出国であるアメリカ、中国、インドの主張に鑑みれば、シナリオEである京都議定書以上の枠組みの形成は困難となり、もっとも望ましいシナリオAに収まることは考えにくい。アメリカ【図6:各国の支持するシナリオ】未批准国無中国EU小島嶼国シナリオCシナリオBシナリオA日本シナリオFシナリオEシナリオDインド未批准国有では、いかにして各国の主張を調整し、最も望ましいシナリオAに近づけることができるのだろうか。第Ⅲ章では、削減義務に消極的な国の主張を検証し、国連がそれに対しどのような役割を担うことができるのかを、考察する。590