ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

以上の概要をもとに、4つの切り口、すなわち1数値約束に対する姿勢、2未批准の可能性、3国内政策、4支持するシナリオ、から各国の主張をまとめたものが、【表2】である。【表2:ポスト京都議定書形成に向けた各国の主張】場合分け付属書Ⅰ国批准国未批准国日本EUアメリカ数値約束数値【数値目標】?基準年の見直し?削減数値目標には触れていないが、世界全体で2020年までに30%のエネルギー効率の改善を目標【削減方法】?「全体の削減目標を課してからその目標達成の対策を考える」EU案とは異なり、より実現可能性の高い「積み上げ方式」を取る。?「セクターアプローチ」(産業分野ごとの省エネ効率を基準に削減を進める)方法に基づく削減方法を提示【数値目標】?すべての先進国により厳しいGHG排出量削減義務を課すべき?気温の上昇を産業革命以前より「2度以内に抑える」?中期的に見て2020年に90年比-30%?長期的には2050年までに90年比-50%以上【削減方法】世界全体の削減目標を設定し、その目標達成のために各国別の削減目標を割り振る【数値目標】?ポスト京都議定書参加の交渉には前向きではあるが、数値目標の導入に関しては反対?義務的削減ではなく、各国が自主的目標を設けて積み上げる方式を提案。COP13の記者会見で「ポスト京都議定書で削減義務を負う意思があるか」との質問に対し、ワトソン上級気候交渉官は、「難しい問題は先にやりたくない。会ったその日の結婚の約束はしたくない。」と述べしている。途上国の扱い可未能批性准の?主要排出国の参加は絶対条件。米・中・印を交渉の場に引き込むために、あえて削減数値目標に触れていない。しかし、世界中のNGOの連合体「CAN」から会議の進展にもっとも後ろ向きだった国に与えられる「化石賞」の1位~3位を総なめにするなど、日本の数値目標をあいまいにする姿勢への風当たりも強い。?排出量の伸びは、途上国が最も大きく、義務を負うべき?ただし、中国の妥協案を引き出し、枠組みに参加させるために、非付属書Ⅰ国は削減義務を負っても、罰則のない「努力目標」にとどめ、付属書Ⅰ国よりも緩やかな「ノールーズ・ターゲット」(失うもののない目標)を設定すべきとしている。?途上国も自主目標を設定し、削減に貢献すべき?無きにしもあらず国内政策?2008年7月に北海道洞爺湖サミットでホスト国を務めることもあり、ポスト京都ではすべての国が参加する枠組みの形成を最重要課題として、その方法を模索。?また、セクターアプローチによる独自の削減数値の算出・途上国への資金援助の検討により、米・途上国の参加を促進し、今後の発言力の拡大を狙う。?国内における再生可能エネルギーの割合は、2005年度に2%であったが、2010年度に3%に引き上げることを目標としている。【EU全体】?2020年までにGHGを90年比-20%削減?目標実現の有効手段として原子力を位置づける。スウェーデン、独、スイスでは原子力が再評価されはじめ、英においても、2008/1/10日に原子力発電所の新設を認める法案が下院に提出され、「脱原発」政策に転換。【ドイツ】?2020年までに自国のGHGを最大90年比-40%?計14の法案や通達をまとめた『エネルギー・環境包括案』を閣議決定し、2009年から実施。【イギリス】?2020年までに自国のGHGを90年比-26~32%削減シナリオA・B・CA?2007年12月上院環境公共事業委員会で2050年に排出量の2005年比-70%を目指す「気候安全保障法案」が可決。ただし、上院本会議で可決されるかは不透明。?大統領選では、クリントン氏が「GHGを2050年までに90年比で80%減らす」という厳しい目標を掲げ、オバマ氏も「炭素経済に幕を引き、クリーンなビジネスに変える時だ」と説く。共和党もマケイン氏は「気候安全保障法案」を支持しているが、ハッカビー氏は排出権取引制度の賛成の意を示しつつも具体策はなく、ジュリアーニー氏は削減義務に反対で原発促進に力を注いでいる。?州政府による取り組みは活発化。カリフォルニアは2050年までに、1990年比から80%削減を目指す国内で様々な政策が検討されているが、現在の国の方針としては、C・F588