ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

ページ
579/1096

このページは 佐藤栄作 受賞論文集 の電子ブックに掲載されている579ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

佐藤栄作 受賞論文集

6つのシナリオからみる『地球温暖化問題』―実効性ある国際枠組み形成にむけた国連の役割第24回優秀賞赤松直美序章日本人には桜を愛でる風習がある。例年関東各地では、3月の終わりから4月にかけて、桜が咲き誇る中で「桜祭り」が催され、多くの観光客で賑わう。しかし、その桜が「桜祭り」を開いたときには、もう葉っぱしかなかった―――。このニュースは瞬く間に各地に流れた1。日本の美しい四季はどこへ行ってしまったのだろうか。桜咲く4月の入学式、梅雨の6月、日差しの強い8月、落ち葉踏みしめる10月、雪深い2月。これらの季節が、近年1カ月前倒しになっているように感じられる。このように、私たちが身近な気候の異変を感じる以前から、「地球温暖化」は科学者や国連で議論されてきた。しかしついに、「この問題の防止に十分強力な措置を取らないと、今世紀中ごろまでには、回復不可能な被害を地球全体が受ける」という所まで来てしまった。本論文は様々な環境問題の中から、地球の命運を左右する、「地球温暖化問題」に焦点を当てる。この問題を改善するためには、第一の柱として、「実効性ある枠組み」が必要である。問題の早期解決のためには、十分強力な措置を各国に課すことが重要だ。そこで、国際枠組みの「6つのシナリオ」を設定し、現在の枠組みの実効性を検証する。そして第二の柱として、各国を先導する「国連」の存在が不可欠だ。のちに詳しく述べるが、地球温暖化は国益と密接に関連している問題だけに、各国の主張は対立しやすい。この主張を調整し、国際枠組み形成の同意を得やすくするための「基盤づくり」を行うことは、国連の重要な役割となってくる。この2本の柱のもと、以下で「地球温暖化」を検証したい。1松橋隆治『京都議定書と地球の再生』日本放送出版協会2007.2.10577