ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

将来の人口移動を見据えた、人類の共生のための環境都市建設指針菅間智義一章人口問題の地球環境へのインパクト人口問題と地球環境との関係を語る場合、人口増加と歩調を合わせ逓増するエネルギー消費と、現在の技術水準や経済合理性の下では利用されない(価値がない)、廃棄物や排出物といった副産物を、問題の基点とすることが重要である。エネルギー需要の増大は、資源の所有を巡る争いをもたらし、化石燃料などはいずれ資源そのものの枯渇は免れない。また、廃棄物などの副産物の影響は、公害に代表される自然環境の汚染・破壊や人体への健康被害といった直接的被害、さらに地球システムの破壊という究極の環境問題にまで行き着く。人口と環境の観点では、紛争回避、枯渇の先延ばし、汚染や地球システムの保護のために、エネルギーの有効活用と可能な限りクリーンなエネルギーの開発、利用が重要課題となってくる。これらの危惧を具体的に見てみると、わが国においては南方(インドネシアやマレー半島)の石油や天然資源の確保のために資源争奪戦(太平洋戦争)が繰り広げられた。それは、自然や人間性を徹底的に破壊し尽した。そして、間近に迫った観のある化石燃料の枯渇に関しても、アジア屈指の資源保有国であるインドネシアですら、(原油の国内需要が高まっている事情があるにせよ)原油輸入額が輸出額を上回りつつあり、さらに近年需要が急増する天然ガスも供給不安がささやかれている。廃棄物の問題は、初期において有害物質に起因する地域的な公害問題が顕在化する。それが放置されれば、河川や地下水脈を通じて国境を超えた水質汚濁につながり、大気は気流に任せて短期間で広域を汚染し、酸性雨は日々森と土壌を痛めつける。そして地球規模においては、直接的には人体に無害なフロンや二酸化炭素の輩出は、オゾン層の破壊によ542