ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

れた機関である。1980年には国連調整管理委員会のメンバーにもなっている。また、総会・経済社会理事会(EOSOC)に報告責任を有している。今では、カイロ会議で採択されたカイロ行動計画書のフォローアップにおいて中心的な役割を担っている。UNFPAの主な仕事としては、リプロダクティブ・ヘルスにおける活動、人口と開発における戦略、啓蒙活動などが挙げられる。そして、UNFPAは各国においてカイロ行動計画を元に具体的な政策の提示と積極的な取り組みを行うために、カントリープログラムを実施している。国際社会ではまず、国連主催の下、国際人口会議が1954年に開催され、1965年に第二回国際人口会議が開かれた。これらの会議は有識者会議であり、政府間会議ではなかったが、人口問題を国際問題として取り上げ、人口爆発によって様々な危機に立たされているという警告を発するという重要な会議であった。そして初めての政府間会議として1974年、国連世界人口会議(ブカレスト会議)が開かれた。主に、人口増加と資源問題、そして開発について話し合われ、ブカレスト計画書が採択され、初めて家族計画プログラムが推奨された。その10年後にはメキシコ会議を開催、家族計画の他に途上国における死亡率や都市化の問題、先進国における出生率の低下・高齢化問題などが話し合われた。そして、1994年カイロ会議が行われ、持続可能な開発と人口増加、女性の地位向上および人権、国際人口移動、教育、HIV/AIDS、中絶、家族計画、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの問題が話し合われた。カイロ会議ではカイロ行動計画が採択され、新たな目標を掲げ国際社会は進みだした。カイロ会議の5年後には国連人口特別総会(ICPD+5)が開かれ、カイロ行動計画書のレビューが行われた。しかしながらカイロ会議やICPD+5では、先進国と途上国の人口問題に対する意見の差やリプロダクティブ・ライツに対する反発が見られ、先進国と途上国の溝がはっきり見られた。また、両会議では中絶問題や女性の権利の問題などが中心に扱われ、本来の人口問題や人口の増加によって引き起こされる資源問題、食糧問題などに対する危機意識が薄れてしまったように思われた。そしてその後も先進国と途上国の溝は埋められず、実際にICPD+10が開催されるこ536