ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第23回佳作に土地を酷使し、土地がやせ衰えてはまた新たに森を燃やし、畑を増やしていく。焼畑農業によって開墾され、使用された土地が肥沃な土地に再生されるには30年の年月が必要なのだが、その30年という期間は現状ではあまりにも長すぎ、食糧供給に追いつかないのである。そして森林が減少することに加えて、酷使された土地は何の手入れもなされず、不毛な土地になっていってしまい、しまいには飢饉が襲う。食糧を確保するために土地を開墾し、その一方で飢饉に襲われるという悪循環に陥るのである。これらの例から分かることは、自然が再生可能であるサイクルよりも早いサイクルで破壊活動が進んでいるのが実状である。これらの他にも、地下水の汚染問題、生態系の破壊なども進んでいる。例えば、食品の安定した供給のために、遺伝子組み換え食品などの「強い」品種を生み出すことで、自然界の中に変異をもたらしている可能性があるのだ。さらに、人口増加による都市部の人口過密も環境問題を含む様々な問題を引き起こす。人口過密で都市化が進むことにより、さらに水質や大気汚染などの公害問題の深刻化や廃棄物の増加などの恐れがある。また、保健衛生やインフラが整備されていない途上国において人口過密・都市化が進むと、疫病が流行し、死亡率が上がってしまうことなども懸念される。また、人口増加とともに都市部における貧困層の拡大で、スラムの増加も予想される。そして、拡大した貧困層に対する充分なヘルス・ケアを行き渡らせることも求められるであろうが、今の段階でも充分に成されていないのである。このように、人口問題は様々な問題を抱え、生み出しているのだ。五、国連における人口問題と国際的な取り組み様々な問題を孕んだ人口問題について国連と国際社会はどのように対処してきたのだろうか。国連では国際的な人口政策を支援するために1969年、国連人口活動基金(UNFPA)が設立され、後に1987年に現在の国連人口基金が設立された。略称は引き続きUNFPAが使用されている。専門機関ではないが、特定の分野での活動を目的とする総会に設置さ535