ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第23回佳作求められ、国際社会の中で重要な位置を占めている国連には何ができるのであろうか。二、人口増加の歴史と地域ごとの特色まずは、人口増加がどのような歴史をたどったのかということについて見ていくことにする。人口増加が社会問題として取り上げられるようになったのは、ヨーロッパが起源となっている。産業革命以前のヨーロッパでは、多産多死の社会構造で出生率は非常に高かったが、ペストなどの疫病の大流行や、大戦の勃発による大量の死者の発生、そして大飢饉が度々発生する中で死亡率も非常に高かった。そのため爆発的な人口増加は発生しなかった。しかしながら、産業革命以降様々な技術の発展のお陰で、ヨーロッパでは人口は爆発的に増加していた。医療技術の発展から出産時に伴った死という危険や幼児の死亡率は低下し、保険衛生面の発展は疫病の大流行を防いだ。フランスにおいては、19世紀初頭、合計特殊出生率は5.0前後の水準を保っていた。この頃、マルサスは先に述べた『人口の原理』を著し、独自の人口論の観点から出生抑制を戒めている。しかしその後、マルサスの理論とは裏腹に1930年代頃になると、合計特殊出生率は2.0に低下した。近代化により社会構造が変化し、多産の傾向が減ったためである。よって、この時期から先進国では人口転換が起こり、少産少死に至った。そして、今現在、先進国の多くが少子高齢化の問題を抱えている。その一方で途上国では第二次世界大戦後、欧米で起こった医療・保険衛生分野の進歩等がもたらされた影響により死亡率は低下、またそれと同時に出生率も上昇し、その結果人口の自然増加率は拡大、人口爆発が起こった。とりわけ、アフリカでは合計出生率がアジア・ラテンアメリカに比べて世界最高となっている。しかしながら、途上国における合計出生率は、一時の人口爆発からは減少傾向にある。60年代初期に合計出生率が6.0だったものから、90年代中期には3.4とほぼ半減している。その中でも、サハラ以南アフリカにおける合計出生率は6.7から6.0とあまり変化が見られないのが現状である。531