ブックタイトル佐藤栄作 受賞論文集

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概要

佐藤栄作 受賞論文集

第23回優秀賞7.国連の課題国連は人口問題に対して様々な取り組みを行ってきたが、まだ不十分な部分もある。この章では問題解決に向けて、国連の活動のうち今までの章で指摘していなかった部分についての改善点について論じる。まず、人的資源の不足である。人口問題の解決に当たり、医療技術、カウンセリング能力をはじめとする多くの技能が必要だが、公務員給与は有能な人材をひきつける魅力がないことが多い。ニーズの最も高い場所に人材を確保するときに、遠隔地や不便なところであることが原因で人を配置できない場合もある。これについては全体的な制度改革の中で組織的に対応する必要がある(UNFPA2004 90)。一つの案としては、NGOとのパートナーシップで国連の役割を担ってもらうことや、国連の別の組織にいる優秀な人材を必要なときに必要なポストへ移動できるように組織の枠を超えた人材移動をより活発にすすめることなどが考えられる。次に、基本的物資の不足である。UNFPAは他の主要な援助機関と協力して、質の高いリプロダクティブ・ヘルスの医薬品・機器・必需品を確実に供給できるよう努力してきたが、今日、援助機関による避妊薬(具)の供給は、過去の分担割合をはるかに下回っていると推定される(UNFPA2004 90)。人口問題へは継続的な避妊薬(具)が不可欠である。援助機関が継続して物資を供給できるように、体制を整えておく必要がある。また、万が一品不足になっても頼れる第2の機関を確保したり、NGOに要請することも必要である。そして、政治的指導力である。政策を調整し、貧困の解決、ジェンダーの平等、政治への市民参加を取り入れるとともに、人口の規模や構成にみあった社会基盤とサービスのニーズを予測し、それに対応する必要がある(UNFPA2005 91)。法律を作っただけでは終わらず、しっかり実行していけるように国連がサポートする必要がある。509